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月と放言

「おっさん!そねぇ、だらず(怠け)じゃつまらんで。」
68歳のおっさんが84歳のおっさんを叱っている。84歳は苦笑いで黙って聞いて
いる。私らは茶化しながらそれをつまみに飲む。
今日は84歳のおっさん家の稲刈り。猫の額ほどの田んぼ(2枚で1反弱)を5人が
かりで手伝う。法人のコンバインが出動したが、家の前の田んぼがイノシシの遊
び場と化し収穫不能になった訳。なので我々はいなくてもいいのだが、師匠が言
う事にゃ「わしがおっさんに1対1で説教するとややこしくなるから、お前ら横で
ビール飲みながら、やーやー言っといてくれ」。ご尤も!

「家のまん前ぐらい毎晩気にしとけや。ここまで荒らされるとみっともないで。
イノシシにここまでバカにされて、おっさん悔しくないんか!」
84歳のおっさんも、かっては長い間、土方としてダンプや重機を自在に操ってき
た職人さん。丁寧な仕事で名をとどろかせてきた。ところが退職して、数年前に
大病を患ってから、やる気までそがれてしまったようだ。外で鍬を振るう姿を見
なくなり、代わりに絶え間ないテレビの音が流れるようになった。今年は田んぼ
の管理も手抜き気味になった。
そうして小一時間。笑いを含んだ説教タイムをやりあげてから、法人事務所で飲
み直し。「おっさんも、年金もらって病院にかかってから、ずるけるようになっ
たのう。年金やら老人医療制度なんてな、年寄りを働かなくさせる。せめて自分
の農地ぐらいは守るという意識を持たにゃ、集落も終わりじゃ。」
「ワシもこの前病院行ったが、たった50円やて。何か行くのが申し訳のうて。」
70歳を越えても盛んな元山師が複雑な表情でつぶやく。

大変乱暴な論理だけど、全くその通りだと思う。
私が老人になったらどう思うか分からないが、人間誰もが至れり尽くせりを味わ
ってしまうと骨抜きにされる。緊張の糸が切れたかのように。
中でも、今の社会、子供と年寄りに医療充実度が高い。家庭経済面から言えば有
難いのかもしれないが、それでは自立心というのが育たないのではないだろうか。
我が家でも子供医療費無料のおかげで、ちょっとした風邪でもすぐ病院へ行くよ
うになった。それを咎めても、子供の面倒を見ない私には発言権が弱い。医療負
担が増えたと不平を言うばあさんも何かと病院へ通う。
国の財政難や地方の医師不足、子供の体力低下などの主原因はここにある。

なんて、根源論を一面的且つ無責任に放言しまくって、中秋の名月に慰めてもら
いながら、各自家に戻っていった。
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by ut9atbun61 | 2015-09-27 21:16 | 田舎 | Comments(0)

田んぼで悩む

今年は皆、口をそろえて言う。
「田んぼがじるくて稲が刈れん。」
雨と曇りばかりで、田んぼが乾かず、ぬかるみ状態。
我が田んぼも、中干し(田んぼを干す事)のタイミングを逃してしまったので
コンバインが入るのが恐ろしい。

昨日、除草剤1回のみの田んぼ2反を稲刈りした。
除草剤のおかげで雑草が少ないため、地表面が乾いてて思ったよりぬかるみがな
い。しかし、一部稲穂が茶色になってて、いもち病が出かかっているようだ。
残りの完全有機無農薬田んぼ4反も一部怪しそうな茶色い箇所がある。
肥料もほとんど入れなかったのに何故だろうか?

コメ作りをして12年。雑草にはいつも競り負けながらも、そこそこ収量を上げて
きて、無農薬でも病気が出たことがなかった。それが唯一の自慢だったが、とう
とうその砦が崩れてしまった。
いもち病を出した友人たちには、いつも偉そうにのたまわってた私。
「いもちはやっぱり肥料のやり過ぎだな。あと密植をしたらいけんね。」
情けなさ余って苦笑い。1から出直しだ。

農業で作り出された物は色んな環境・状況によって様々な影響が出る。
その原因を特定することは難しい。ただ自らの経験と知識をフルに活かして、同
じ失敗を繰り返さない事が鉄則。薬を振ってしまえばたやすいが、しばらく頭を
痛めて悩んでみようと思う。
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by ut9atbun61 | 2015-09-24 22:10 | 農業(有機) | Comments(0)

日記 『マイ・フレンド』

日記というのはなかなか素敵だな、と最近思えるようになった。
特に他人の日記(つまり日記文学)を覗き見るってのはいい。
私のベスト3は、
「百姓絵日記」…ある少年が描いた明治時代の農村情景
「ゲバラ日記」…言わずと知れた革命家の日記
「百鬼園日記帖」…師匠漱石への思いと独特の言い回しが絶妙

しかし私自身、小学生時代は母親に無理矢理書かされていた。しかもあろうこと
か、書いた後に文章添削まで行われる始末。プライベートもあったもんじゃない。
文を書くことが好きになったはいいとしても、日記の味は苦いものだった。

最近、農作業の疲れを癒すように寝床で開いてるのが『マイ・フレンド』。
心の師高田渡の17歳~20歳までの日記。
完成された“ザ・高田渡”を全く感じさせない、純粋無垢な表現で心打たれる。
飲んだくれの親父と兄弟で貧しい暮らしをしながら、社会になじめず苦悩するワ
タル少年。彼が会社のトイレでひっそりと向き合って、心を許していたのが「マ
イフレンド」と題した日記帳。

きみを知っててよかったよ!ぼくの友はきみ1人だ。いつもどこでもね。

文末に必ずといっていいほどくっついてくる自己激励の表現。なんか、せつなく
て涙が出そうになるけど、飄々とした完成型ワタル氏の顔が浮かんでちょっと吹
き出してしまう。
彼の生きてきた人生そのものが唄になってて、唄がそのまま彼自身になっている。
改めて彼の人生を唄を味わえて、私は幸せ者だなと思った。
ベスト1日記は『マイ・フレンド』に決定‼

今、ぼくはアメリカのフォーク・ソングを学びたいと思っている。(中略) ぼく
はいままで、本当に一生をかけようとこんなに強く思ったことはほかにはありま
せん。ですから、絶対にモノにしてみせます。そしてそれを生かしつづけます。
芸術は大衆の中から生まれ、大衆の中に、大衆とともに生きるべきものです。
ぼくはかならずやりとげます。何年かかっても……。
1966・3・16、高田渡(17才)


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by ut9atbun61 | 2015-09-13 21:36 | | Comments(0)

雨が空から降れば

雨、雨、雨…と幾らつぶやいても雨
恵みの雨は既に流れてしまって、毎日ため息を吹きかける

稲刈りを待つ田んぼはじるい。
ケールの定植を待つ田もじるい
そんで私はじれったい

雨を怨む百姓に福岡正信氏は優しく諭す
雲の上は晴れている、と
雨に泣く人に小室等は語りかける
雨が空から降れば思い出は地面に沁みこむ、と
そう私も言い聞かせて、どっかと腰を据える
ところが5分も持たず、オロオロと部屋を歩き回る
そうやって今日も1日が過ぎていった


今年は秋作ケールに全力投球しようと思い、息巻いてた。
ところが、その前段にWCS稲(飼料用稲)を栽培。
まずそこで暗渠排水の水抜き忘れでコケた。
田んぼがじるくて(ぬかるんで)、トラクターが入れない…。
更に秋雨が邪魔をする。
もう一つ。この度初めてケール苗作りに挑戦したが、水やりの仕方が悪かった
せいか、苗の調子がいまいち。近所の苗作りのプロ農家(慣行農)に改めて基本
から習う。
ここに来て初歩的なミスを2つもやってしまった。
最近、ルーティンワークに甘ったれてきた自分への戒めなんだろうと反省。
むしろ、この程度の失敗で許してくれそうな自然(戒めの雨)に感謝する。
それでも、久しぶりにへこんだ。

不思議な事に、そんな言葉を発したり書いたりすると幾らか気分が落ち着く。
人間にとって表現できるって大切なんだな。
但し表現の海に迷い込んでしまうと、それはそれで足を洗えなくなりそうな気
がする。だから、ちょっとだけ吐き出していけばいいのだろう。
明日からまた自然の我が儘を精一杯吸い込めるように…。
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by ut9atbun61 | 2015-09-09 22:23 | 田舎 | Comments(0)

最近世間を騒がす事を思う

最近、安保法案について、友人の意見を聞いたり、考えを読んだりする事が多い。
反対・賛成それぞれの考え方はフムフム確かに、といったん自分の中に取り込む。
ただ自分の意見を正当化する余りか、異なる側への悪口批判はどうかと思う。
安倍がダメだとか、デモがダメだとか。
どっちもダメなところはある。けどそんな批判の応酬では意味がない。
それより、相手の意見に耳を傾け、自らの思想が絶対的に正しいのか振り返る方
が意味があると思う。つまり無知の知こそ今は大切。

私はどちらかと言えば法案反対の立場。憲法9条を守って外交努力と駆引きで何と
かアジアのバランスを取っていければと思っている。だからこそ、今の反対陣営
に対して心配してしまう。今の熱狂的デモに対して、「覚悟無き反対だったら貫
けないのでは?」「勢いと貧しい言葉だけでは相手を巻き込むことはできない」。
また賛成派から投げつけられる批判「対案も出さずに9条護憲で今まで通り平和
が保たれるのか?」「もし何処かが攻めてきたらどうするのか?」に対しては真剣
に考え込んでしまう。勿論ディベート的反論ならばすぐに返すけど。

一方、賛成の人はデモをこき下ろすのではなく、まずは政権が進めているやり方な
どをもう一度見つめ直した方がいいのではないか?「法的手続きや解釈に無理があ
るんじゃないか?」また「有事といって本当に近隣諸国が攻めてくるのか?」

お互いが自陣営の主張を疑う事から始めないと、議論にすらならない。
結局、国策に正論などない。ただ国を動かす人たちは、反対論に耳を傾けて真摯に
向き合いながら粛々と(政治家さんの大好きな言葉)落としどころを見つけていけば、
それが正論に近付く。それが今出来てないから、運動が巻き起こってるのだ。
おそらく政府の対応1つで、世論は変わっていくと思う。そうなったらなったで私
は困るけれど(笑)。

しかし私は、最終的にはどっちに転んでもいいや、という気でいる。
食べる物は作っているし、エネルギーもそこそこ自然で賄える。心のゆとりがある
から雑音に惑わされることも少ない。そこそこ持久力&体力もある。
これで戦争が起こりそうになれば、裸一貫、身体張って反対するし、起こってしま
えば、さっさと逃げ隠れしようと思う。うちの回りの御岳や須郷田山にでも身を潜
めりゃしばらく大丈夫!国や人がどうなろうとも、それぞれ個人の思想さえきちっ
と持っていれば何とかなるものだ。

私は言ってしまえば、無政府農本主義ダダイストという訳のわからぬ立場でいたい。
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by ut9atbun61 | 2015-09-02 19:46 | Comments(0)

たまたま通信9月号

第113号発行!
私も負けずに41歳になりました!
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by ut9atbun61 | 2015-09-01 23:15 | たまたま通信(養鶏) | Comments(0)