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宮沢賢治

 先日「100分で名著」という番組で宮沢賢治を取り上げていた。
考えてみれば小学校の時、一番私の心に残った童話が宮沢賢治の作品達だったし、
今年の旅の目的(彼の本を夜汽車で読みたい&賢治記念館に行く)が宮沢賢治。
今年は何かと無意識上に彼が浮かび上がって来た。
 ということで、年の瀬にちょっとだけ考えてみた(本音は朝まで考えたいのだが)。

 幼年時代に読んだ童話はとても素敵だった。「注文の多い料理店」・「よだかの星」・
「銀河鉄道の夜」は特に。それでも最も印象深いのは「風の又三郎」。風邪を引いて
学校を休んだ時に初めて読んだのだが、衝撃的だった。神秘的でいながら、自分と同
じ子供、遊びや生活も近い。自然の描写が読む者をわくわくさせる。何度も読み直した。
 とにかく、彼の童話は子供心にすんなり入ってくるので熱を入れやすく、しっかり記憶
に刻み込まれる。そして、今の自分というものを形成してくれた。
 
 あれから30年近く経って今年、ふと賢治の故郷花巻に行ってみたくなった。その汽車の
中で、久々に作品を読んだ。(「シグナルとシグナレス(信号機の話)」なぞはぴったりで、
危うくこっちの世界に戻れなくなるかと思ったぐらい)
 しかし何かしっくりこない。確かに文章は透通るようで美しく、優しい心持にさせてくれる。
しかし、何だろう…。この落ち着かない感じは。読後感も薄く淡々としている。多分三十路
半ばを超えた自分が、段々感動が薄れて純真さが失われてつつあるせいだろう。

 宮沢賢治記念館を訪れた。色んな作品の背景や賢治の人となりが改めて学べた。しか
しここでも彼の作品より作家以外の世界(農業・生物・化学・天文・音楽・美術・宗教…)
の造詣の深度に惹かれた。少しでも彼の様に生きたい。人生を1000倍楽しく生きる手本
としての賢治。

 そして今回の番組。賢治作品を通じて幸せな生き方を探るというテーマで、震災復興の
原動力にもなる事を紐解いていったのだが、
 「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」
                                       (農民芸術概論綱要)
痛いほど分かる気持ちだが、この言葉を礼賛してスローガンとなってしまうと、
 「一億一心」 「欲しがりません勝つまでは」
どこかの威勢いい掛け声に早変わり。下手すりゃ他所の国まで出掛けて行く事になりか
ねない。
 やはり最初にあるのは自分。最後にも自分。その軸を失ってしまうと、自分の身体を壊し
てまで人の役に立とうとする賢治になってしまうのではないか?それは客観的には美しい
行為かもしれないが、それを正当化していくと…空恐ろしくなる。
 「今の時代では大袈裟だ」と笑うかもしれないが、人のやらかす事なんか、ちょっとしたき
っかけで社会全体が流れて行ってしまう。大体、真善美なんて言葉には要注意!
そんな時は独り明後日の方を向くべし。

 どうも賢治の作品にはその流れが強いような気がする。
多分自己矛盾の先に産み落とされたという事と時代の産物なのだろうが、お坊ちゃん体質
の匂いがしてくる。それがあの、しっくりこない感なのかもしれない。

 そうは言っても稀代の夢想家宮沢賢治。農民の芸術や自然と言葉の融合といった私が
ぞくぞくしてくる様なテーマを遥か昔に実践していた人…。やっぱり最高だ。

最後に『農民芸術概論綱要』の一節を。
 
農民芸術の興隆

……何故われらの芸術がいま起らねばならないか……

曾つてわれらの師父たちは乏しいながら可成楽しく生きてゐた
そこには芸術も宗教もあった
いまわれらにはただ労働が 生存があるばかりである
宗教は疲れて近代科学に置換され然も科学は冷く暗い
芸術はいまわれらを離れ然もわびしく堕落した
いま宗教家芸術家とは真善若くは美を独占し販るものである
われらに購ふべき力もなく 又さるものを必要とせぬ
いまやわれらは新たに正しき道を行き われらの美をば創らねばならぬ
芸術をもてあの灰色の労働を燃せ
ここにはわれら不断の潔く楽しい創造がある
都人よ 来ってわれらに交れ 世界よ 他意なきわれらを容れよ


 失礼致しました。
 あっという間に大晦日。今年も色々ありました。
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by ut9atbun61 | 2011-12-31 00:47 | | Comments(0)

セサミストリート

 今年の子供達へのクリスマスプレゼントはセサミストリートのDVDにした。
カミさんはどうやらピンとこないようだが、私の幼年期のお気に入り番組。というか、母親
の偏狭な教育方針でNHK以外は見せてくれなかったという事情もある。日曜日の夜と
言えばセサミストリート。世間では大人気のお笑い番組が競い合っていたというのに…。

 このテーマ曲が聞こえてくるとわくわくしてたものだ。

 それにしても今にして思えば、セサミストリートという番組は革新的だったと思う。196
9年誕生という事だが、その頃はまだ人種差別や反戦運動が激しい時代。そんな中で、
セサミストリートという一つ屋根の下で人間(様々な人種)とモンスター、マペットが共生
している。番組内で結婚したり、養子を迎えたり、聴覚障害のメンバーと手話で会話する。
中でもフーパーさんという雑貨屋の名物おじいちゃんが亡くなった際に、番組で死と向
き合うシーンは私の中にしっかり残っている。とにかく生活感あふれる教育番組だった。
 またセサミストリートのもうひとつの醍醐味は音楽。ロック、ポップス、カントリー、クラッ
シックとなんでもござれ。ゲストミュージシャンを呼んだり、マペット達で合唱したり、楽し
そうに歌う姿は、まさに日常生活に音楽が入り込んでいた。

 最近はセサミキャラクターばかりが一人歩きして、売れ筋商品となっているようだけど、
内容の素晴らしさを沢山の子供達に見て欲しいので、また放送してくれないかなと思う。
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by ut9atbun61 | 2011-12-25 22:04 | Comments(0)

本名 ドン・ヴァン・ヴリート

 ロック音楽界の奇才と言えば、フランクザッパ
その幼馴染にして音楽界からはみ出した鬼才というのがキャプテン・ビーフハート

ブルースを基本にフリージャズや現代音楽的にもアプローチ。
天才肌のせいか、常にトラブルメーカー。すぐ人を疑ったり、けなしたりする。自分は
常にアドリブだったが、メンバーたちは譜面通り(彼の言う通り)にさせていたという。
あの名ギタリスト、ライ・クーダーも一時在籍してたようだが、余りの無茶苦茶ぶりに
キレて脱退したとか。自分のバンドから数々のロックミュージシャンを輩出したザッパ
とは大違い。

 さんざん好きなだけやっといて、80年代に突如音楽業界から消える。
音楽界の商業主義や人間関係に嫌気がさしたとも言われるが真相は不明。
以後、砂漠に住んで画家として活動して昨年亡くなった。

 生き方も格好好いが(周りはさぞかし迷惑だったであろうが)、楽曲に惹きつけられる。
アルバム一枚通して聴くと疲れてしまうが、何故か惹きつけられるものがあって、時折
無性に聴きたくなる。やっぱりブルースという土壌を大切に持っていながら、オリジナリ
ティーを究極にまで高めたからなのかなと思う。
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by ut9atbun61 | 2011-12-21 23:50 | 音楽 | Comments(0)

五右衛門風呂

 ここ2,3日の寒さはようやく当たり前の冬を感じさせてくれる。
ほっとする半面、やっぱり寒いのは嫌だ。毎朝のケール収穫作業が辛い。
そのケールも今年は大方終わり。ようやく農閑期を迎えるものの、そうのんびりも
していられない。竹やぶ刈り、田畑の寒起こし、落葉集め、エゴマ選別、薪割り…、
数え挙げるときりがない。

 昨晩は、久々に五右衛門風呂に入る。いつもの如く入るのは私と子ども達だけ。
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勿論、薪火の温もりが身体の疲れを取ってくれるのだが、何より醍醐味は、この火。
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黄昏の彼方を見やりながら、目の前の赤い火を眺める愉しみ。時間を忘れさせる。
2,3日前に獲れたイノシシ肉塊を、このおき火で転がして、削ぎながら、食す。
 当の風呂は、カメムシと落葉との混浴なので、どうもさっぱりとしないような気がするが、
それもまたよし。
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by ut9atbun61 | 2011-12-18 21:59 | 田舎 | Comments(0)

たまたま通信  ~近況二題~

 先月末より今年生まれのヒヨコ達が卵を産み始めている。
所謂初たまごってやつだ。
産卵箱を用意してなかったので、あちこち産み落とす。踏む。割れる。そしてそれを
食べる…。そこで慌てて産卵箱を作った。
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果たしてちゃんとこの中で産んでくれるであろうか?

吉賀町に住む方が、エサ用トウモロコシを作ったはいいが、出来過ぎて処分に困って
いるという話を頂いた。早速取りに行ったが、確かにある、ある。20キロは超えている
だろう。おそらく総量100キロ。有難く頂戴したはいいが、この硬い実をどう処理しようか?
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エサとしては最高の材料になるのだが。
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by ut9atbun61 | 2011-12-14 22:00 | たまたま通信(養鶏) | Comments(1)

マルシェ

 昨日は、グラントアのマルシェ高津川(市場)でゆうの会の農産物販売をやった。何か
医療をテーマにした人気映画の上映会で賑わうとの事で、常連さんのダンクダンケ
オーガニックカフェ アヤ一心房に加えて急きょ私達も初めて参加することに。
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 完全に準備不足ではあったが、我がたまたま農園ぴろぴろ農園そしてゆる
り農園
(こうして名前を並べると何というネーミングだ!)の品々で何とか体裁だけは整える。

 何しろ私自身、前の晩は益田で農業青年クラブの忘年会。飲んで騒いで、更にビート
ルズバーアビーロードで見知らぬ客と盛り上がってしまい(仲間からは置いてけぼり)、
いつの間にやら午前様。翌朝、家に帰るも卵・野菜を収穫して益田にとんぼ返り。
眠い、だるいは言うまでもなし。ピロピロ君や蕎麦君らと雑談で気晴らし。

 しかし初参加の割にはお客さんも足を止めてくれる。しかもゆうの会を知っている方も!
「確かこの前、サツマイモのスイーツを出してたでしょ。あれ美味しくって…(略)…、また売
ってね。」
訳も分からす、笑顔で謝を返す。おそらくゆるり農園に違いない。
 
 売上額は大きくないが、チラシを配ったり、お客さんと話したりで掴みはまずまず。
地道な宣伝で少しずつ前に進んでいる(様な気がする)かな。 
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by ut9atbun61 | 2011-12-11 23:14 | 田舎 | Comments(2)

レノンとザッパ

 12月8日と言えば、敬愛するジョンレノンの命日。
 12月4日は、奇才フランクザッパの命日。今日はまとめて追悼。
片や世界のロックスーパースター、片や理解不能な表現者。
両者とも私の好きな政治色濃いミュージシャンだが、意外なつながりがある。
ザッパのライブにジョンとヨーコが飛び入り
5,6曲演奏しているが、まともな曲はこれのみ。あとはヨーコとザッパ2人で盛り上が
っているだけ。
 大体、ザッパの音楽は現代音楽的アプローチが強いので、アルバム一枚聴く度にく
たびれてしまう。頭が冴えている時に聴けば心地良いのだが、片田舎しかも暇無し百
姓ではなかなか食指が動かない。
 それでもザッパのアルバムを聴いていると、音楽は全て自由だ!という気がしてくる。
なんでもあり、狭域の私に世界を広げてくれた。
 またザッパは常に権力と闘い続けた。特に宗教(アメリカはキリスト原理主義が強い)
と検閲(表現の自由)に対しては徹底していた。最後は大統領選に立つ気もあったらし
いが、余りにもアンダーグラウンドで過激なので、まず無理だろうと思ってしまう(アメリカ
にはそんな度量は無い)。
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ビートルズにアイデアをパクられた腹いせ(?)に発表したアルバム。
『WE'RE ONLY IN IT FOR THE MONEY(俺たちは金のためだけにやっているんだ)』

 そう言えば、ザッパの高校時代の親友であるキャプテンビーフハートも去年の12月に
亡くなっていたんだ。彼も半端なく凄い人物。併せて追悼。
 
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by ut9atbun61 | 2011-12-08 23:16 | 音楽 | Comments(0)

「一週間」 井上ひさし

 井上ひさし氏の遺作「一週間」を読破した。
思いとしては一週間で読み終えるつもりだったが、勿体ないという感覚と、夜読書の
時間が取れなかったこともあり、二週間に足が出た。
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ソ連捕虜となった主人公の波乱万丈の一週間を描いたもの。笑いあり、涙あり、手に
汗握り、ついでにHなシーンも。横道逸れる事が多々あるも、文体のテンポ良さが集中
力を途切れさせない。
 あらすじがまた面白すぎるので、ここで語るのは勿体ない。楽しんで読んでいるうち
に、日本の歴史、ソ連の文化まで頭に入ってくるというお得感もある。これこそ著者の
モットーである、
難しいことを易しく,易しいことを深く,深いことを面白く,面白いことを真面目に,真面目なことを愉快に,愉快な事を一層愉快に
の精神が生きている。

 考えてみれば、私と本の出会いは「モッキンポット」シリーズ(風変わり仏人神父との
ドタバタ交流)だったし、演劇に興味を持ったのは、「父と暮らせば」(広島の原爆被災)。
農業のきっかけは、「コメの話」。そしてここにやってきたのは、「吉里吉里人」(独立国家を作る話)のおかげ。
 という事は、私の動きは全て井上作品の中で小踊りしているだけなのだろう。

 最近は井上作品から随分離れていたのだが(理由は単に飽きたと思っていたのだが)、
これを機にもう一度読み直していこうかと考えている。
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by ut9atbun61 | 2011-12-05 23:19 | | Comments(0)

農業機械

 農業をするにあたって、お金がかかるのは何と言っても機械と施設。
特に米作りには欠かせない。しかし新品は高くて手が出ない、中古は中々手頃
なのが出て来ない…。皆悩みの種になっている。
 幸い私は周囲に恵まれてきた。(歩行用)田植え機、バインダー、ハーベスタ、
そしてトラクター、全て無料で頂いたもの。色んな人に“欲しがってるぞ”サイン
を出していたのが功を奏したのかもしれない。
 そして今回も。近所で先輩格の知人が、コンバインを目ん玉が飛び出るほど
の安値で見つけてきてくれた。色々と訳ありなので値段は言えないが。
 ついでにトラクターの状態を見てもらったところ、
「こりゃ、タイヤ(ホイール部)に割れ目がはいっとるけえダメじゃね。うーん、それ
じゃトラクターも探してやろう」
そう言って帰って行った。
 そして夕方、トラクターが我が家の車庫へ。これはおまけだとの事。
有難いより完全に恐縮してしまった。
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4年前友人から貰った年代物トラクター。後輪ホイールナット部分が大変な事に。
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20馬力で、立派だ…。
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コンバインは来秋のお楽しみという事で。
 これで言い訳は出来なくなった。
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by ut9atbun61 | 2011-12-01 22:46 | 田舎 | Comments(2)