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カテゴリ:本( 86 )

岐路に立つ読書のススメ

私の数少ないポリシーの一つに『読書のススメ』というものがある。
幼少の頃から、母親にテレビ・ゲーム・漫画を極端に制限され、その上一人っ子で、
群れるのが好きじゃなかったために、その代償に母親から強制読書を頂戴し、いつ
の間にか本の世界にのめり込んでいった。
その足跡の良し悪しは全く分からないが、取りあえず、自ら歩んだ道だけに子供達
にも辿って欲しいという親心、それで子供達(身内だけでなく絡んだ子供全てに)
には口うるさく本を読めと言い続けている。たとえ勉強はしなくても、本さえ読ん
でいれば…、と言った具合にだ。
ところが、今日見事に一本取られた。

朝、嫁さんが何やら子育て講演会があるとかで、いそいそと出掛けていった。
そして帰って来た時には、自信に満ちた、いや勝ち誇ったような顔で私の前に仁王
立ち。これにはたまたま鶏を捌きに来ていた友人も、何だ?とびっくり。
「いやー、今日の講演会は為になったねー。」
と私の反応も待たずに、受け売り子育て論を一気にぶち上げ始めた。
私は“評論家の語る子育て論なんて”という頭があるから、早速お得意の聞き流し頷
き法を実践してたが、その中で「15歳までは読書は必要ない!」「漢字の反復練
習はしなくてよい。一切書かずに覚える事ができる!」なんて言い出したもんで、
ついカチンときてしまう。
「そりゃ目茶苦茶だな!そんなトンデモ教育論を聴きに行ったん?子供に読書させ
ないで感性なんか生まれる訳ないだろ、考える力も養えないし。あ、オレがいつも
文句ばかり言うから、仕返ししたいんだろ。」
しかし嫁は涼しい顔で笑いだし、話を遮る。嬉しくて仕方ないと言わんばかりに。
「あー、そうくると思った。けどね、15歳、っていうのは自己確立する時期なん
だけど、それまでに読書を沢山してきた人達は、15歳過ぎたら自分探しの旅に出
ちゃうって。それ聞いて思わず友達と声出して笑ってしまったよ。あ、身近にその
失敗例があった!ってね。」
突然そんな事を言われたもんで、「うっ」と言葉に詰まった。すぐに開き直って、
「自分探しをしてどこが悪い!」って言い返したんだが…なんだかなぁ。

考えてみれば、40半ばのおっさんが家族そっちのけで自分探しの旅をするって、
恥ずかしぃ、もう外聞悪すぎるって。
決してそんな大仰な旅でなく、鉄道マニアとしての最後の矜持なんだが、結局傍
から見れば糞も味噌も一緒なのだろう。
だからと言って、止めるわけにはいかない。
これからは、余りエラソーに旅に出るから!なんて高言するのを止め、やや恥じ
らい気味にちょいとそこいらまでと、つぶやく事としよう。
そして読書をしろ!と見下ろし公言するんでなく、子供達の耳元で「きっと本を
読んだら楽しい事が起こるだろうにね、おじさんは読んで欲しいなぁ」と猫なで
声でささやいてみようかな。


by ut9atbun61 | 2019-03-31 23:51 | | Comments(0)

知ってしまった日本の構造?

最近は気晴らしに新書ばかり読んでいる。
しかし読み進めると、これが結構深い。
笑ってスカッとしたり、心和んだりする事もあるが、多くは気晴らしになるどこ
ろか、腹が立ったり、モヤモヤしたまま本を閉じる事が多い。
それじゃぁダメだろうとも思うが、私たちが生きてる社会が所詮そんなものなん
だろう。その中で最もカリカリした新書。

『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』矢部宏治

友人から貰ったんだが、題名がセンセーショナル過ぎて、暫く山積みしてた。
一読すると、政治的に偏ってて、更には陰謀論者っぽく感じてしまったが、
じっくり読み返すとそうでもない。淡々と事実を暴いてくれる本だった。

例えば、「日本の空はアメリカに支配されている」という説。
「横田空域」と「岩国空域」という米軍が管理する空域があるそうだ。
(数年前までは沖縄に「嘉手納空域」があったが、名目上は無くなったそうだ)
横田空域は東京の西部地域を覆っており(高度7000m)、日本の航空機は特別
な許可無く飛べないという。確かに、石見から羽田に向かう時、都心上空を避け
るように東京湾を大きく迂回して、何故か房総半島から羽田へ向かうという変な
ルートを飛ぶので疑問に感じていた。これは都心部の騒音対策とかでなく、横田
空域の影響だった。同様に、岩国空域は島根県から愛媛まで広範囲に設定されて
いて、何らかの制約を受けているようだ(本書ではそこまで言及されてない)。

また、沖縄普天間周辺市街地での米軍機による低空飛行が問題視されているが、
米軍住宅の上では低空飛行をしないそうだ。何故かと言うと、アメリカ国内法に
より危険飛行を禁止していて、米軍住宅はそれに適用されるからだとか。
それならば、日本にも最低高度や飛行禁止区域などを定めた『航空法』があるの
だが、米軍機はその特例として“適用外”になるという。つまり日本では危険飛行
など実質無視されているに等しい。ちょっとおかしな話だ。

そこから更に変な話が出てきた。日本には環境汚染を防止するための法律がある
のだが、何故か、何故か!放射性物質汚染だけはこれまた“適用外”になるという。

○大気汚染防止法第27条 この法律の規定は、放射性物質による大気の汚染及び
その防止については適用しない
○土壌汚染対策法第2条 この法律において「特定有害物質」とは、…中略…その
他の物質(放射性物質を除く)
○水質汚濁防止法第23条 この法律の規定は、放射性物質による水質の汚濁及び
その防止については、適用しない

つまり、福島原発事故に関して、国として環境汚染を認めて無い事になる…。
同様に、アメリカの対日政策に関して、国として知らぬふりをしている…。
そう疑われも仕方がない。
どんな穿った見方をしようが、原発政策と対米政策は同じ根っこだ。
こんな有様で復興とか言って、オリンピック開催を素直に喜べるのか?

久しぶりに本で腹が立った!
が、この1冊の新書だけで全てを信じ込まないのが私の性格。
これから少し調べて、更に深堀りしてみたいと思う。
 

by ut9atbun61 | 2018-07-17 23:02 | | Comments(0)

たまたま読書大賞

今年も季節季節が素通りして行って、気付けば大晦日。
今年の目標、『読書を極める』ハズだったのだが、せわしさと農作業のくたびれ早寝で、全然ダメ。
そんな中で、今年も選ぶ『たまたま読書大賞』、発表致します!
ちなみに本賞の特徴は、ベストセラーや新刊の類は殆ど選ばれない事(まず読まないから)、むしろマニアックでアウトサイドな本達を紹介。皆さんの読書の参考にはならないけど、こんな本達もあるんだと認識してもらえれば有難い、有難い。

第10位 「わが心のディープサウス」ジェームス・バーダマン
自然と農業と音楽の故郷、アメリカ南部。この手の本は迷わず買って読む。内容云々ではなく、私にとっては聖書。なのでランクイン。
第9位 「彷書月刊」(シリーズ)彷徨舎
古書に関する月刊誌だそうで、神田古書街で出会った。奥宮健之、杉山茂丸など琴線に触れる人ばかりを特集している。しかし残念ながら現在は廃刊。
第8位 「アメリカ様」 宮武外骨
不屈の伝説ジャーナリスト宮武外骨氏。戦後、掌返しでアメリカ一辺倒の世間を痛烈に皮肉ってアメリカをほめ殺した書。矛先はアメリカにとどまらず、時の政府から共産党まで。
第7位 「汝を子に迎えん」 松下竜一
世間から爪はじきにあって日の当たらない人々に暖かい眼差しを向ける松下竜一氏。文体から優しさがにじみ出ている。
第6位 「反骨」 金子光晴
日本一の変態詩人のエッセイ。さすが高田渡の師匠。
第5位 「言葉の命脈(いのち)」 高木護
最も好きな詩人の言葉辞典。暇な時にぼんやり見ていると放浪している気分に浸れる。
第4位 「辻潤 個に生きる」 高木護
ダダイスト辻潤の生涯を高木護流に表現している。
第3位 「大杉栄伝 永遠のアナキズム」 栗原康
最近注目の若手研究者。一アナキストの伝記というより、謎めいた生き様を面白く砕いてくれている。
第2位 「農民ユートピア国旅行記」 A・B・チャヤーノフ
ロシア革命後(1920年)に書かれた1980年のソ連社会主義国の近未来模様。短所と長所を見事にあぶり出している。歴史好き必読の書。
第1位 「どぐら綺譚 魔人伝説」 松本健一
私の故郷久留米で切腹した草莽の士“高山彦九郎”とドクラマグラの夢野久作との精神的繋がりを探る書。まさに運命的出会いの書!

ベスト3は後日改めて詳しく紹介します。
それでは皆様、良いお年を!
来年もしっかり本を読もう‼

by ut9atbun61 | 2017-12-31 20:40 | | Comments(0)

現代の老壮会❕

いやはや、日本にはまだ凄い雑誌が残っているもんだ。
久しぶりに色んな意味でコーフンして貪った。

先日大阪出張という事で、新幹線を使わず特急で往復した。片道約8時間半。
そのお供にと、噂の雑誌を紀伊ノ国屋で手に入れた(島根には無い!)。
『月刊日本』
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ナショナリスト向けの雑誌だが、ある意味リベラル。
右から左まで様々な執筆陣が好き勝手持論を展開。
以前は『週刊金曜日』と共同シンポを開いたそうだし。
とにかく自由闊達で社会正義に対する主張がぶれていない。
(正邪がはっきりし過ぎているところがちょっと危険な気がするけど…)

まず巻頭文で、朝鮮の主体思想(つまり精神性)に一定の評価をし、対米追従の日
本を糾弾する。流石にえーっと引いてしまうのだが、そんな事お構いなしに亀井静
香氏の日米安保の現在を批判、石破茂氏の安倍政権を批判、と続く。
それから、「東京五輪を返上せよ」とか「愛国者よ、脱原発のため立ち上がれ」、
「安倍政権を打倒せよ」と過激な主張が飛び交う。
連載はマルクス・エンゲルス評論からアジア主義の歴史まで多種多彩。

これはまさしく現代の老壮会だ!
老壮会とは大正期に左右思想の枠を超えて集まったグループ。
危機の時代から生まれてくる連帯の思想。
きっとこの思想から新しい時代の枠組みが生まれてくるんじゃないかな。
ただし、これが暴走すると手が付けられない。
この雑誌が世の主流とならん事を願いつつ、定期購読しようかな、なんて思った。
by ut9atbun61 | 2017-10-12 21:56 | | Comments(0)

1月選書

 「曹阿瞞 鶏肋喰わされ 痩せ我慢」
 「孔融や 独言と共に 露と消え」
 「涼風が 心惑わす 錦馬超」

ちょいと調子に乗って、最近川柳にハマっている。

農閑期とはいえ、山で竹伐採仕事で半端ない疲れ様。
1月読んだ本はたった4冊。
寝正月の流れで三国志モノが占める結果になった。

 『筑豊炭鉱絵物語』 山本作兵衛
 『三国志逍遥』 中村愿 安野光雅
 『三国志談義』 安野光雅 半藤一利
 『三国志の迷宮』 山口久和

山本作兵衛さんの炭鉱絵画は芸術的であって写実的。勿論歴史学としての第1
級資料でもある。なのでとても不思議な感覚にさせられる。
私はケチって文庫版を買ったが、やはり大判を買うべきと後悔した。
ヤマ言葉やヤマ唄は意味を辿るでなく、雰囲気だけでそそられる。

三国志逍遥は安野光雅氏の絵観たさに購入。現代中国と三国時代を交差させて
描いてて、更に鑑賞者の想像力を重ねるといつまでも眺めてても飽きない。
それに、漢学者の中村氏の三国志解釈が説得力あった。曹操は人格者で真の英雄。
献帝は自ら禅譲を希望していた?とか。一方の劉備は無能だが計算高い。諸葛亮
は、それを利用して自らの野望を果たそうとした狡猾&冷酷人間。出師の表など
は自己主張とまで。そして劉禅は諸葛亮を恐れるあまり、暗愚なフリをしていた。

初めは、半信半疑だったが、読み進めるうちに、私達が読んできた三国志という
のは、あくまで、陳寿という蜀出身の歴史家や羅貫中という流行作家が書き上げ
たものであって、歴史考証という立場で書かれてない。色んな証拠書を出される
と妙に納得してしまった(「三国志迷宮」もこれと似た視点で書かれてた)。
余談だが、子供達にこのことを話したら凄くがっかりして、何か夢を壊したよう
な罪悪感にかられた。

そして安野さんと半藤さんとの放談。画家と歴史家のぶつかり合い。
武将や軍師を勝手に採点したり、三国志故事の新解釈など面白かったが、白眉だ
ったのは、三国志をテーマにした俳句川柳。先人の傑作からお二人の新作まで。
傑作だったもの!

 「三度まで 通いお蜀を 手に入れる」(江戸川柳)
 「橋一つ 張飛長阪 ノモンハン」(安野)
 「趙雲は ネンネンコロリと 首をはね」(半藤)
 「霜寒く 此の夜馬謖を 刎(くびき)りぬ」(内藤鳴雪)
 「喪を秘して 軍を返すや 星月夜」(漱石)

そして最後も安野先生。
「星落ちて その時本を 閉じにけり」
お後がよろしいようで。
by ut9atbun61 | 2017-02-10 00:36 | | Comments(0)

第3の男 橘孝三郎

昨日の読書大賞の第3位の紹介。橘孝三郎著『日本愛国革新本義』

私は昭和初期の政治思想に興味があって、色々調べていくと、どうやらその根
っこに“農本主義”というのが横たわっていた。農本主義とは読んで字の如く、
“農業を国の本位(主体)とする”思想のこと。農業立国ならではの在野思想。
そのイデオローグの1人、橘孝三郎氏。紹介はウィキペディアに譲るとして、
彼が農業の傍ら、愛郷塾というのを開いて若者を指導していた。その講義の一
部を収録した本。昭和7年発行の再出版。
時代や題名からして、さぞや国粋万々歳と思うだろうが、意外にそれだけでは
ない。むしろ、現代への警告にも通じる普遍的な視点で物事を捉えている。

「日本の百姓が米を作って自らの米を食へないやうで、どうして国防が保てま
すか。日本の一大事は決して仮想敵国の発展と圧迫によるものではありますま
い。寧ろ敵国外患無き時、国は常に亡ぶるのです。」
「社会は全く金力支配の下に動かされ、人心は大自然を忘れ農本を離れ、ただ
唯物生活を個人主義的に追及して亡び行くのを忘れるに至らざれば止まなくな
るのであります。」
「頭にうららかな太陽を戴き、足大地を離れざる限り人の世は永遠であります。
人間同士同胞として相抱き合ってる限り人の世は平和です。人各々その額に汗
のにじんでをる限り、幸福です。然らば土の勤労生活こそ人生最初の拠り所で
なくて何でせうか。」

この感情論にはぐっとくる。
その一方で、
「今の如き中央至上主義的な集権制の如きは、根本的に改められて地方分権的
なものとなし、これをした国民的共同自治主義の実を挙げしむる~」
と、地方分権を進め、国民自治による決議(下から上への作用)と統治機関に
よる執行(上から下への作用)の両輪で物事を進めていくという現代顔負けの
政策を唱えている。

ただ一つ不気味なのは、「障碍物掃蕩」という項目で、敵は国外にあるのでな
く、内に潜んでいる。それを徹底的に大掃除すると言っている点。
まさに、五・一五事件のバイブルである。

農本主義は、理念として素晴らしかったが、それを実践する手段が悲しいかな
乱暴であった。当時の危機回避の最終手段だったのであろう。
それに対し、現代の農村農業の衰退の危機は異なる要因である。
何かこの理念を活かしつつ、都会人に訴えていく事が出来ないかなと思う。
そのヒントは、もう一人の農本主義者、私の同郷久留米人の権藤成卿翁が握っ
ている! 来年のテーマは権藤氏の「社稷」である。
by ut9atbun61 | 2016-12-28 23:02 | | Comments(0)

たまたま読書大賞

今年も年の瀬が迫ってまいりました。
さぁ、本年度の『たまたま読書大賞』の時間です!ここでは、たまたま農園主が、
野良仕事を怠けてしまうほど読み込んだという本達を紹介します。
ここ数年、読書量が落ちてきたって事で、今年は月3冊以上というノルマを課し
たところ、7~80冊程読んだようです。
その中から、選りすぐりのベスト10を発表します!

第10位『寝台急行昭和行』 関川夏央
  純文学&鉄道マニアな筆者が想いを滔々と綴った本。昭和を背負った寂しい
  おっさん向けかな。

第9位 『藤澤清造短編集』 西村賢太
  直木賞作家の西村氏のダメダメ男(私)小説が面白かったら、その師匠がい
  たとかで。大正期の最低生活が淡々と描かれてて、プロレタリア系のような
  暗さが無いところが好い。  
第8位 『ヘッセの夜 カミュの朝』 ささめやゆき
  友人からのプレゼント。小説・詩・演劇などを一枚の絵で表現する不思議な
  絵本。3分の1は読んでいたので、独り突っ込みをしながら楽しめた。
第7位 『漱石先生雑記帖』 内田百閒
  大好きな百閒先生のエッセイ。漱石の弟子だと本書を通じて知ったが、百閒
  先生の漱石愛は半端ない。亡くなった後も未練ウジウジと書いているところ
  が笑える。勿論わざとだろうけど…。
第6位 『長谷川如是閑評論集』 
  ジャーナリスト必読書と言われながら、百姓になってようやく手に取った。
  この人は決して時代に迎合せず、右左に傾くことなく、常に自由(自立)主
  義の立場で言いたい放題。社会にユーモア的批判を用いた先駆者じゃないだ
  ろうか。特に惹かれたのは、「(自分の)立場と反対の書を読むようにして
  いる。~反対の立場のものを読む事は私の立場を構成する為に絶対必要だ。」
  今のお偉方は読んだのだろうか?
第5位 『テキヤと社会主義』 猪野健治
  寅さんはマルキストだ、とかねがね思ったいたらこの本。読まずにはいられ
  なかった。アナーキストな香具師(テキヤ)の歴史を取り上げているが、少
  し強引な気もした。けれど、アウトローで底辺に生きる人たちの共通した思
  いは皆同じであって、“粋”という文化に収れんされる。エリートで深刻顔な
  社会主義は崩壊したけど、人間味溢れるいい加減な社会主義はまだある。
第4位 『保守のヒント』 中島岳志
  最近、最も共感できる政治思想を唱える学者。従来の保守主義を紐解いてい
  くうちに、私はゴリゴリの保守主義者だと気付かされた。イデオロギーより
  も人間性を重視する考え方が現実的。
第3位 『日本愛国革新本義』 橘孝三郎
  私の今後のテーマとなる農本主義。そのイデオローグの1人。一人一殺の井
  上日昭の師でもある。無茶苦茶な国粋主義かと思ったら大間違い。本書は昭
  和初期発行でありながら、百姓の立場から堂々と政府・政商を批判している。
  勿論純粋主義なので注意は必要だけど、今見直されるべき思想だと思う。
第2位 『200万都市が有機野菜で自給できるわけ』 吉田太郎
  前からずっと読みたかった本。キューバの有機農業を様々な角度から捉えた
  書。キューバ好きの著者だけに、少し現実を差し引いて読んだが、それでも
  有機農業から世界の諸問題を解決できるかもしれないと期待できる!
第1位 『反〈絆〉論』 中島義道
  ようやく出会った!人生で最も影響を受けたといっても過言ではない。
  人は中島義道氏を「ひねくれ者」というが、私にとっては常識人。“絆”とい
  う美名に潜む圧力をさらけ出している。誤解を招く表現も多いけど、当たり
  前の事を遠慮なく言っているだけ。溜飲を下げるだけの書にはしないつもり。

以上、傾向としてはやや評論系に傾いてしまいましたね。
それにしても、相変わらずマニアックな選書ばかりで…(苦笑)。
ベスト3は改めて詳しく紹介しますよ。
さて、来年は更に読書量を増やしていきたいところですねぇ!
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by ut9atbun61 | 2016-12-28 01:40 | | Comments(0)

安岡章太郎で死

先日の或る夜、母が胸が苦しいと言った。
またいつもの大袈裟小芝居かな、と思いつつ、何処かで気になるものもあり、
近くの総合病院へ連れて行った。

午後11時。救急当番の医師は手慣れた様子で、次々と患者を交わしていく。
母の番になった。「それじゃ、ま、一応レントゲンとCT取ってみましょ。」
乾いた口調が事の軽さを十分に伝えてくれた。
ところが、だ。次に診察室に呼ばれた時には、医師の顔に曇りがかっている。
「ちょっと、今から重要なお話があります。…」
ドラマばりの空気感。私は身構えながらも、他人事かのような聞き耳を立てた。
心筋梗塞の一歩手前、今から緊急手術をするという。
数枚の誓約書を書かされて初めて、今から起こるかもしれない出来事に向き合
う事となった。
80を越えた母の死は、正に目の前にある。
そこに座る私はなすすべも無い。
けれども悲しさや怖さという当たり前の感情も無い。
誤解を恐れず言えば、自分が今人生の転機に接しているという、変なワクワク感。
電話で、嫁に簡単に病状を報告。電話口では驚きの空気が流れるが、その風は耳
をくすぐらない、余韻そのままで切った。

午前0時、手術室の灯りが点されると、私はたった一人。ピッピッ、という心の
電子音だけに支配された。それを一つずつ数えていくのも野暮ったくて、本を手
に取った。出掛けに引っ掴んできた本棚からあぶれた文庫。安岡章太郎『死との
対面』。 “死は前よりしも来らず、かねて後ろに迫れり”
流石にヒヤッとした。偶然の必然なのか、必然の偶然なのか。
老作家の軽いエッセイは、飲み物に等しい。あっという間に読み終え、また初め
から…。都合3度、無意識の中で頁をめくった。
3度目の時に、ふと思い出した。
母が以前、九州で交通事故に遭って入院した時、偶然読んでいた本が、やはり安岡
章太郎『海辺の光景』。精神を病んだ母を静かに看取る話。淡々と、ややもすれば、
非常に冷めた視点で大切な母を抱える姿は、妙に読み心地が良かった記憶がある。

結局母は、手術を無事に済ませ、2週間で退院。年明けに再手術をするものの、危
機は脱したそうだ。

私にとって死というのは、決してストレートに解決出来るものではない。
毀誉褒貶と同じく、嫌らしく考えていくもの。その先にきっと諦観と安寧が横たわ
っているのだろう。

父が死んだ時、私は小学校に入りたてで、今となってははっきり覚えてない。
ただ後日、父が居ないと気付いた時(ようやく理解して)、大層悲しんだそうだ。
遠かった死が、一回り成長して、再び日常に帰ってきた。
そして今日、近所のばあちゃんが亡くなった。
 “死は前よりしも来らず、かねて後ろに迫れり”
by ut9atbun61 | 2016-12-14 00:04 | | Comments(0)

ベストセラー読み

最近、本の偏りを失くすため、古本屋でベストセラーを選んで買うようにしてい
る。今までは「売れた本なんてくだらねぇ」なんて遠吠えしていたけど、やっぱ
り売れるからには訳がある。ちょっと努力して読もう、と一念発起。

思い起こせば、大江健三郎氏が騒がれてた時に、(今は亡き)読書通の方に突っ
込まれた。私が、「大江健三郎氏は、何か気取ってて嫌いですね。」と言ったら
「彼の作品のどこが嫌いなの?」と。私は苦し紛れに「いや、先日書評見てたら
イメージ通りの事を書いてた人がいて」と答えると、「自分で読まないうちから
批判してはダメだよ!」と言って一冊の本をくれた。「小説の経験」
今やそれがその方の形見となってしまっている。

つい手に取った本達。有名&題名で選んだところ、
「苦役列車」西村賢太…底辺を這いずる人のリアルな生き様。ちょっと陰鬱過ぎ。
「図書準備室」田中慎弥…ひねくれた古い文学者っぽいが、ちょっとくどいかな。
「廃墟に乞う」佐々木譲…題名に魅かれて買ったけど、軽い感じの探偵もの。
見事西村賢太には、はまってしまった。
早速、「暗渠の宿」と、師と仰ぐ藤澤清造短編集を買ってしまった。
ちょっと時代錯誤的ではあるが、今だからこそ読んで浸りたい気分。
それが本のいいところ。

この次は、皆が薦めてくる村上春樹ってやつを読んでみようかな。
by ut9atbun61 | 2016-10-22 23:27 | | Comments(0)

読書

今年は読書元年!と称して月3~5冊を目標に来ているわけだが、今のところ
何とかクリア出来てる。
今月も早速、素敵な本達2冊を読了。

筒井康隆『最後の喫煙者』
猪野健治『テキヤと社会主義』

ほっと胸を撫で下ろしたところに、グサリと突き刺さる話。
新右翼創成者の鈴木邦男氏は月30冊で四苦八苦しているそうだし、本の虫松
岡正剛氏は千夜千冊を謳っている。
比べる事自体が論外ではあるが、もう少し頑張らなくては、という事で、
来月からは5~7冊を目標としよう。
by ut9atbun61 | 2016-06-16 22:47 | | Comments(0)