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寅さんを偲ぶ

映画「男はつらいよ」が始まって今月で45年、
“寅さん”こと、渥美清が亡くなって今日で18年。
何故覚えてるかって?私は何を隠そう、「寅さんオタク」なもんで。(多分津和野では5
本の指に入ると自負してる。ちなみにうちの師匠は、第13作で寅さんが乗るバスから
降りてくるエキストラになってる!)
そして忘れられぬ思い出がある。亡くなった時の事を今でも鮮明に覚えている。

私は大学3年生。当時弁論部部長をやってて(笑)、夏に全国遊説というイベントに参加
してた。関東の20数大学が集まった「全関東学生雄弁連盟」で企画したやつで、北班は
北海道から、南班は鹿児島から、それぞれ各都市で遊説を行い、最後に合流して新宿
で街宣車で仕上げるという無謀ぶり。当然、頭でっかちの学生の話なんか殆ど聞いてく
れず、単に自己満と度胸試しだった。
その時私は、環境問題か何か訴えるつもりで準備していたが、丁度その時に渥美清が
亡くなった。私はショックで、すぐさまテーマ変更。「私と寅さん」と題して、マイクを握った。
「幼い頃からずっと笑い転げて観ていたのだが、最近思うに、寅さん映画は奥が深い。
毎回恋愛をダシに社会問題を取り上げている。家族・地域・会社・医療・農業…。社会の
発展と共に日本人が忘れてきているものを指し示している。実は寅さんは哲学の教科書
だ!なんて言うと、寅さんに怒られるだろうが、これから寅さんをどんどん観よう!!」
なんて事を熱々と語った(札幌での事)。
すると2人の初老の男性が熱心に聴いてくれている。
一人はテキヤで、一人はホームレス。対応した友人に「ほんと、その通り」「ええことを言
うなあ」と言ったそうだ。それを聞いて感極まって涙が出てしまった。
そして後日、一緒に遊説した東大弁論部長が「今まで寅さんを見たことなかったけど、君
の演説を聞いてから彼女と観に行ったよ。いやー、よかった。はまったよ。」そう言われて
また泣きそうに…。

寅さんは効率とか利便性を追求する社会においてはアンチテーゼとして必要不可欠。
特に今の時代だ!
ちょっと悩む時、疲れた時、落ち込んだ時、吹っ切れたい時、に絶対に観るべき。
決して懐古主義ではない。そこから真の豊かさのヒントを得るのだ。

我が家でも、私のエゴで年4~5回は上映会を開く。
最近は子ども達もはまりつつあり、「ねえお父さん、今日寅さんの怪獣が出るやつ観ようや」
と袖を引っ張ってくる。しめしめ。
今晩は久々に家にいるので第39作を観ながら渥美清とすまけいを偲んでいる。
by ut9atbun61 | 2014-08-04 21:52
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