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啾々吟

 松本清張の初期作品(「西郷札」収録)に「啾々吟」というのがある。
清張マニアの私の中ではかなり記憶に残っている作品。

 肥前は鍋島藩主君、直大と同日同藩で生まれた2人の男の哀しき運命を描いている。
凡才ながら周りからちやほやされて登り詰める家老の子(私こと主人公)と、才に恵ま
れながら人に容れられない宿命を持つ足軽の子。初めこそ利発さで皆から可愛がられ
る(慕われる)ものの、次第に「可愛げのない」「親しめない」と皆が離れていく。
「おれはどういうものか他人から好かれない運命を持っている。はじめは都合よくいくの
だが、だんだんおれは嫌われてくる。理由もなく嫌われるのだ、」

そうして彼は、増々卑屈になってしまう。唯一の親友(理解者)だった私とも仲違いを起こ
し、社会から外れて、落ちこぼれて…哀しい結末へと。

正直な話、自分は親に甘やかされて、ちやほや・のほほんと育ち、今まで運の良さだけ
で生きてきた実感がある。我が儘いい加減な性格も、何故か都合よく解釈されて色んな
人に可愛がられてきた。(それはいつも嫁が嫌味交じりに証言してくれる)
一方、私の愛すべき友人たちの中には、不器用ながらも頭脳明晰の変人が少なくない。
しかし周囲の彼らに対する評価というものが余りにも低く、いつも彼らのフォローばかり
をしていた。「どうしてこんな面白い奴らの良さが分からないだろうか?よっぽど俺の方が
つまらんのに」みたいな事を口にすると、「また謙遜ばかりして」とか「優しくていい性格」
なんて言われて気持ち悪い。「くそくらえ!」と言いたいが我慢する。

ここに来てある時、「あんな変な奴とは付き合うな」と人に言われ、腹を立てたことがあっ
た。そんな時決まって出る言葉が、「生理的にキライ」・「受け付けない」。
この無責任な言葉達は何だろうと思ってしまう。言われた方の身にもなって欲しい。
確かに嫌われる理由も分かる。大体が態度がでかい、口が立つ、馴染もうとしない。
その一面は十分理解できる。だから場合によっては、直接彼らを諭したしたこともある。
でも、そんな些細なことはどうでもいいじゃん、と思う。短所を見てればきりがない。
人と付き合うには、物凄いエネルギーがいる。何かそれを放棄している人が多い。
それは決して無駄な労力ではない。自分の世界が広がるし、人付き合いが上手になる。
何より自分が楽しくなれる。知らないことを沢山知っているのだから。

最近も、その様な動きがある。めんどくさい事だ、けど…。
『啾々吟』を読み返して、何かよい知恵を絞り出そう。
by ut9atbun61 | 2014-06-21 22:25 | 田舎 | Comments(0)
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