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生温い?百姓

 私がIターンした頃と言えば、かれこれ10年以上になるが、その頃は随分生活と
いうものを愉しんだ。全てが新鮮で、工夫、金は無いけど時間はたんとある。
五右衛門風呂を手直しして、毎日沸かし、その横に石窯と燻製缶を作って食料作り。
野菜が不出来なので、色々雑草料理を研究。イノシシと廃鶏でタンパク補給。
電気・ガスは極力使わない、元祖“ダッシュ村”。
化石燃料に頼らない暮らしはさほど苦も無く自然に行っていた。

ところが、数年後母親が小銭を持って越してくる、嫁は段々都会人気取り(?内諸)で
我がままになっていく。結託した両者は「快適な暮らしをよこせ」とシュプレヒコール。
そして私はと言えば私は稼ぐことと押し付け役回りに忙しくなる。
生活に怠け心が入り込んできたのは言うまでも無い。
そうなれば煙は立たなくなり、イノシシは冷凍庫でカチコチものを言わず、夜も光々と
電気が灯る。平成不況も何処吹く風かの暮らしぶり。フクシマに顔向けできず。

そして今年、何故だか無性にナチュラルライフが恋しくなった。
正月過ぎて、五右衛門風呂の穴あき状況を確認しながら修理策を練る。
一昨日、ホコリまみれの燻製缶を引っ張り出して来てベーコン、くんたま、鮭とば、燻
製豆腐などを作ってみる。昨日は捌いた自家鶏肉でだしをとって“具材ほぼ自給闇鍋”
を作る。家人の意外なる評判に気を良くして、先刻、野菜酵素ジュースを仕込んでみる。
そして、来週はイノシシ100%(腸も!)ソーセージとレバパテを客に振る舞おうと画策中。

急に燃え上がった炎なのだろうが、これが田舎で当たり前の暮らしぶりだと思ってる。
しかしお金をかけない暮らしにありつこうと思うと、そのためだけに一日が潰れる。
潰れると言うより過ぎる。傍から見れば、羨ましがられるだろう、はたまたそんな事をして…
と呆れられるだろう。それが今の自分にとって、+なのか-なのかはよく分からない。
ただ本能がやりたくなったのだろうからそれに従っているに過ぎない。
家族を食わせていかなければ、なんて考えもどっかにあるのだが、何とかなるだろうと甘
えに乗っかっている。未来を暮らす子ども達に大切なものを見せておきたいという思いも
あるし。科学技術文明の海に溺れてしまうのは余りにも可哀想過ぎる。

どうせ3月に入れば、目尻がひっくり返るほどの忙しい毎日が控えている。そんなママゴ
トやってらんない。それまで“冬眠中のささやかな生活感”という事で勘弁して欲しい。
そうつぶやくと、「毎日働いて金を持って帰る私はどうなるんだ!」という横やりが飛んでき
そうだが、それは上手くかわして、っと。
by ut9atbun61 | 2014-01-16 00:42 | 田舎
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