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旅紀行 2011 vol.5

 4日目の朝。
ケンジの宿で温かい朝食を頂き、8時半前には出発。
 歩いて20分、小高い丘にある宮沢賢治記念館へ。
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宮沢賢治への思い入れは、決して小さくないので別項に譲るが、列車の時間の都合上、
一時間ちょっとかけて駆け足で見て回る。文学者としての顔は、有名。しかし、思った以
上に様々な顔を知った。科学者、農学者、美術家、音楽家‥と幅広い。しかも彼は、全
てそれらを、有機的つながりを持って見ている。だからあんなに素晴らしく、子供から大
人まで楽しめる童話を書けるのだろう。

 不十分に堪能して、駅にとんぼ返り。11時12分発宮古行きに乗り込む。弁当を買う余
裕すらなく、売店でお菓子とパンを買った程度(宮古駅で三陸の海の幸の詰まった弁当
でも買えばいいという皮算用であった)。
 車内は買い物・病院帰りの年寄りや学生、旅行客で8割程の混雑ぶり。ボックス席で
眼帯をしたおばあちゃんと仲良くなり、地元の過疎化や農業の衰退などの話を聴く。何処
も一緒の悩みを抱えているようだ。
 ばあちゃんも途中で降り、相棒とお菓子を食べながら、ぼんやりと川に寄り添う車窓を眺
めていた時、突然急停車。場所は柏木平駅と鱒沢駅の中間辺り。
 暫くして、「ただ今、三陸沖でM6強の地震が発生しました。…安全確認のため、しばらく
停車します」との報。体感は無かったのでちょっと驚いたが、他の乗客はいつもの事の様
な平然な顔。しかし、そのまま一時間程停車。さすがの車内もざわつき始めた頃、列車は
ゆっくり動き出し、遠野駅までで運行中止。
 一度ゆっくり訪れたいところだったが、こんな時に来るとは…。しかし動きは取れない。
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 駅で待機していると、宮古・釜石(三陸)方面と花巻・盛岡方面にタクシーを準備するから
どちらかに載ってくれと言う。本来は、宮古から三陸鉄道・久慈線を乗り継いで今夜の宿
八戸
に行く予定であったが、駅員曰く、「この調子だと三陸沿線は完全に交通麻痺状態だ
から、止めた方がいい」と。三陸の絶景目当てだけに泣く泣く引き返すことに。(ここで強引
に行ってしまえばどうなっていた事か!)
 JRが用意してくれたジャンボタクシーに乗客8人乗りこむ。予想外の展開に相棒だけ
が大喜び。鼻唄道中となって、花巻まで戻る。
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花巻駅でも混乱状態で、急きょ代行バス2台を仕立てていた。
私達も計画の練り直し。時間も無いので、盛岡まで普通を利用して、そこから昨年末開通
したばかりの東北新幹線で八戸へ。そして八戸線で本八戸まで。
 青春18きっぷは一日分パーになるわ、新幹線代がかさむ上に、車窓の愉しみも無し。
結果的には、当初の予定より1時間ほど早く(17時前)本八戸のホテルに着いた。
 それなら夕ご飯でもと、面倒くさがる相棒を連れて黄昏の街中へと繰り出していった。
                                                  つづく
by ut9atbun61 | 2011-06-29 23:24 | 鉄道
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