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たまたま通信 ~鶏肋~

 先週、卵を産まなくなった鶏を6羽さばいた。手伝って下さったのは、隣町の鶏
さばき名人。一緒に来たWWOOFのイギリス青年も、臭いに苦しみながら参加。
 鶏にしろ、イノシシにしろ、動物はおしなべて、さばき方というのがある。私もここ
に住みついて、随分色々な動物をさばいてきたが、中々その奥義を掴むことは易
くない。今回の鶏も、我流に包丁を振り回せば1羽当たり20分近くかかる。首を
切って毛をむしるところからだと、約40分仕事だ。
 ところが、名人の仕事っぷりには驚かされた。
 まず包丁は殆ど使わない。関節部分の筋を切れば、あとは全て手で剥いでいく。
いとも簡単に、10分とかからない。しかも、きれいに仕上がる。モモやササミの身
離れもいい。全ての作業が2時間足らずで完了。写真を撮る暇も無く、、、。

 この時期になると、私達の様な小規模養鶏業にとって、卵の産みが悪くなった鶏
(いわゆる廃鶏)の処分が、課題に上る。
 食肉として卸すことは法律上出来ないし、業者に引き取ってもらうにはコストが生
じる。山に野放しすれば…、今の御時勢何が起こるか分からないので出来ない。最
近は地元の宴会で実演提供(?)したり、友達数人と一緒にさばいて分け合ったりす
るぐらい。

 中国の三国志時代に「鶏肋」という故事がある。

曹操が劉備によって漢中を奪われ、さらに劉備が漢中王を名乗ったことに怒り、漢中を奪還すべく彼自ら軍を率い出陣した。しかし、魏は蜀に敗れ、曹操も矢が歯に当たるという危険な目に遭った。この時点で魏の軍内部で「撤退論」が取りざたされたが曹操はこれを否定してきた。
その中、曹操が夕食中に鶏がらを噛みながら「鶏肋…」と呟いていたところを配下の楊修が居合わせ、この「鶏肋」とは漢中のことだと思い、曹操が内心「捨てるには惜しいが・・・」と撤退を考えていると合点して、軍を引き払う準備をした。これを知った曹操は激怒した。楊修にとっては主君の意を汲みしたことが、主君の内心を探ると逆鱗に触れたのである。曹操は楊修を処刑したものの、劉備に再び敗れた曹操は楊修の言葉を思い起こし、撤退を決断すると、楊修の遺体を丁重に葬ったとされる。
(ウィキペディアより) 

 食べるには身がないが、ダシが取れるのでそのまま捨てるには惜しいことから、「大し
て役に立たないが、捨てるには惜しいもの」
という意。鶏のあばらを指しての表現であ
るが、廃鶏丸ごとに置き換えてもいいと思う。さすがに“大して役に立たない”とは失礼だが。

 その「鶏肋」をたっぷり使ってだしをとり、セロリとささみのスープを作った。
 やっぱり役立たずではない。塩と手を組めば、調味料なんか目じゃない!
 




 
by ut9atbun61 | 2011-02-22 22:11 | たまたま通信(養鶏)
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