人気ブログランキング | 話題のタグを見る

農業で人間をつまみ食い?

 私がここにやって来た時、最初に仲良くしてくれた農業仲間がいる。彼は農業では
一年先輩。同じIターンで同い年、波長も合う仲だった。よく家に遊びに来ては、将来
の事や有機農業について話した。
 彼はビニールハウスを借りて、施設野菜に取り組んだ。とにかく几帳面、研究熱心。
いつも綺麗に管理して、収穫高も年々上昇。近所の人たちも「彼はやるで」と太鼓判。
私のいい加減で乱雑な性格がいつもやり玉に挙がっては比較される始末。私自身、
見習わねばとひそかに思っていた。
 しかし、ある時を境に彼の姿が見えなくなる。色々と些細な事が悪い方向へと傾いた
のか、真相は分からない。家に行ったり手紙を書いても音沙汰無し。
 丁度、御両親も移住してきた頃で、随分心配されたに違いない。

 その御両親と、昨日久しぶりに出会った。様子を伺うと、最近、時々外に出ては農作
業を手伝ってくれているそうだ。会話も少しずつ増えているという。
 よかった、よかった。が、今からが大事。ゆっくり、あせらず、である。またいつか、色
々と話す時が来てくれるだろう。今度は一緒に何かやっていく、実践の場にしたい。
 
 昨年、一冊の本に出会った。「畑で野菜をつまみ食い」(ふきのとう書房)
谷川俊太郎、小室等と魅力ある人が筆を振るっている。その中に一人聞き慣れない名
前が。小宮山天経(てんけい)さん。彼は、ギター一本抱えて長野の山の中
へ飛び込んで、有機農業に取り組んでいるという。自分と重なる部分が多い上、この人
は詩人だ!と直感して急に会ってみたくなった(たまに変な気を起こす事があるもので)。
 そこで更に調べを進めると、驚いたことに彼は、一旦ドロップアウトしてまた現在、一か
ら出直しているという。彼もどうやら、手抜きしない自分に厳しい性格だったのだろう。

 一生懸命頑張る人が立ち行かなくなる…単に自身のせいだけじゃないような気がしま
す。かといって社会・国が悪いなんて格好つけた事も言いたくないが、社会システム的
な欠陥があるのでは?例えば、勝ち組の高笑いとか…。
 こういう御時勢、決して良いとは言えないが、意外と私の様な「あいつは駄目だ」と言
われつつ、のらりくらりそれを聞き流して適当にやる部分が少しはあった方がいいの
かもしれません。トルストイの「イワンのバカ」の様に。

 天経さんの事は統合失調症への挑戦というブログで知ることが出来ます。
by ut9atbun61 | 2011-02-11 23:42 | 田舎
<< スプーンギター 偶成の時間 >>