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清張さんと司馬さん

 昨日は、竜馬について云々…と偉そうに語ったのだが、今日も少しばかり。
「竜馬がゆく」や「坂の上の雲」などで知られる司馬遼太郎と、「点と線」や「昭和史発掘」
松本清張。この両国民的大作家はとても対照的。
この両者を知る面白い本がある。編集者半藤一利 の「清張さんと司馬さん」。
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『司馬さんの小説は、…歴史を上から俯瞰するように捉える。…しかし清張さんは地べた
を這う…草の根を分けるんです。』
(一部抜粋)

 私はどちらかと言うと清張派。英雄を広野に走らせる理想の姿より、不条理社会の中で
生きる平凡な人間の心に潜むものに興味がある。別の文献にも両者の違いがある。

『司馬さんは、この世には天意というか、俯瞰した力があり、それは法則のようなもので、
例えば西郷と大久保が同じ時代に、しかも歩いて行ける距離にいたのは奇跡的であり、
幼いときから「西郷どん」「一蔵どん」と言わしめたのは、双方男だったからで、片方が女
だったら、維新はどうなっていたか分からない。そこに必然性を感じるというのに対し、
清張さんは、「そんな高尚なものはない。人間はエゴの固まりで、そのエゴとエゴが結び
ついて事が起きていく」という、言わば人生観と世界観の違いでした。』


 また歴史観も両者は異なる。幕末から明治期を高く評価し、日露戦争以後を嫌悪して書
けなかった司馬遼太郎氏に比べ、松本清張氏は、緻密な取材と検証で昭和の戦争をあ
ぶり出す。歴史の連続性という観点から考えると、明治から昭和の変遷というのが当然知
りたくなる。権力の謀略を暴く清張作品は一級品。
 その一方で、清張の歴史分析は、独断的でしばしば疑ってしまうほど。読み物としては
面白いが、史料的価値としては疑問符がつく。
 
 最後に両者のお気に入り作品。
司馬遼太郎 「国家・宗教・日本人」(井上ひさしとの対談)
松本清張 「神々の乱心」「北の詩人」ほか(大好きな作家なので絞れない)
by ut9atbun61 | 2010-11-24 21:19 | | Comments(0)
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