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第3の男 橘孝三郎

昨日の読書大賞の第3位の紹介。橘孝三郎著『日本愛国革新本義』

私は昭和初期の政治思想に興味があって、色々調べていくと、どうやらその根
っこに“農本主義”というのが横たわっていた。農本主義とは読んで字の如く、
“農業を国の本位(主体)とする”思想のこと。農業立国ならではの在野思想。
そのイデオローグの1人、橘孝三郎氏。紹介はウィキペディアに譲るとして、
彼が農業の傍ら、愛郷塾というのを開いて若者を指導していた。その講義の一
部を収録した本。昭和7年発行の再出版。
時代や題名からして、さぞや国粋万々歳と思うだろうが、意外にそれだけでは
ない。むしろ、現代への警告にも通じる普遍的な視点で物事を捉えている。

「日本の百姓が米を作って自らの米を食へないやうで、どうして国防が保てま
すか。日本の一大事は決して仮想敵国の発展と圧迫によるものではありますま
い。寧ろ敵国外患無き時、国は常に亡ぶるのです。」
「社会は全く金力支配の下に動かされ、人心は大自然を忘れ農本を離れ、ただ
唯物生活を個人主義的に追及して亡び行くのを忘れるに至らざれば止まなくな
るのであります。」
「頭にうららかな太陽を戴き、足大地を離れざる限り人の世は永遠であります。
人間同士同胞として相抱き合ってる限り人の世は平和です。人各々その額に汗
のにじんでをる限り、幸福です。然らば土の勤労生活こそ人生最初の拠り所で
なくて何でせうか。」

この感情論にはぐっとくる。
その一方で、
「今の如き中央至上主義的な集権制の如きは、根本的に改められて地方分権的
なものとなし、これをした国民的共同自治主義の実を挙げしむる~」
と、地方分権を進め、国民自治による決議(下から上への作用)と統治機関に
よる執行(上から下への作用)の両輪で物事を進めていくという現代顔負けの
政策を唱えている。

ただ一つ不気味なのは、「障碍物掃蕩」という項目で、敵は国外にあるのでな
く、内に潜んでいる。それを徹底的に大掃除すると言っている点。
まさに、五・一五事件のバイブルである。

農本主義は、理念として素晴らしかったが、それを実践する手段が悲しいかな
乱暴であった。当時の危機回避の最終手段だったのであろう。
それに対し、現代の農村農業の衰退の危機は異なる要因である。
何かこの理念を活かしつつ、都会人に訴えていく事が出来ないかなと思う。
そのヒントは、もう一人の農本主義者、私の同郷久留米人の権藤成卿翁が握っ
ている! 来年のテーマは権藤氏の「社稷」である。
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by ut9atbun61 | 2016-12-28 23:02 | | Comments(0)

たまたま読書大賞

今年も年の瀬が迫ってまいりました。
さぁ、本年度の『たまたま読書大賞』の時間です!ここでは、たまたま農園主が、
野良仕事を怠けてしまうほど読み込んだという本達を紹介します。
ここ数年、読書量が落ちてきたって事で、今年は月3冊以上というノルマを課し
たところ、7~80冊程読んだようです。
その中から、選りすぐりのベスト10を発表します!

第10位『寝台急行昭和行』 関川夏央
  純文学&鉄道マニアな筆者が想いを滔々と綴った本。昭和を背負った寂しい
  おっさん向けかな。

第9位 『藤澤清造短編集』 西村賢太
  直木賞作家の西村氏のダメダメ男(私)小説が面白かったら、その師匠がい
  たとかで。大正期の最低生活が淡々と描かれてて、プロレタリア系のような
  暗さが無いところが好い。  
第8位 『ヘッセの夜 カミュの朝』 ささめやゆき
  友人からのプレゼント。小説・詩・演劇などを一枚の絵で表現する不思議な
  絵本。3分の1は読んでいたので、独り突っ込みをしながら楽しめた。
第7位 『漱石先生雑記帖』 内田百閒
  大好きな百閒先生のエッセイ。漱石の弟子だと本書を通じて知ったが、百閒
  先生の漱石愛は半端ない。亡くなった後も未練ウジウジと書いているところ
  が笑える。勿論わざとだろうけど…。
第6位 『長谷川如是閑評論集』 
  ジャーナリスト必読書と言われながら、百姓になってようやく手に取った。
  この人は決して時代に迎合せず、右左に傾くことなく、常に自由(自立)主
  義の立場で言いたい放題。社会にユーモア的批判を用いた先駆者じゃないだ
  ろうか。特に惹かれたのは、「(自分の)立場と反対の書を読むようにして
  いる。~反対の立場のものを読む事は私の立場を構成する為に絶対必要だ。」
  今のお偉方は読んだのだろうか?
第5位 『テキヤと社会主義』 猪野健治
  寅さんはマルキストだ、とかねがね思ったいたらこの本。読まずにはいられ
  なかった。アナーキストな香具師(テキヤ)の歴史を取り上げているが、少
  し強引な気もした。けれど、アウトローで底辺に生きる人たちの共通した思
  いは皆同じであって、“粋”という文化に収れんされる。エリートで深刻顔な
  社会主義は崩壊したけど、人間味溢れるいい加減な社会主義はまだある。
第4位 『保守のヒント』 中島岳志
  最近、最も共感できる政治思想を唱える学者。従来の保守主義を紐解いてい
  くうちに、私はゴリゴリの保守主義者だと気付かされた。イデオロギーより
  も人間性を重視する考え方が現実的。
第3位 『日本愛国革新本義』 橘孝三郎
  私の今後のテーマとなる農本主義。そのイデオローグの1人。一人一殺の井
  上日昭の師でもある。無茶苦茶な国粋主義かと思ったら大間違い。本書は昭
  和初期発行でありながら、百姓の立場から堂々と政府・政商を批判している。
  勿論純粋主義なので注意は必要だけど、今見直されるべき思想だと思う。
第2位 『200万都市が有機野菜で自給できるわけ』 吉田太郎
  前からずっと読みたかった本。キューバの有機農業を様々な角度から捉えた
  書。キューバ好きの著者だけに、少し現実を差し引いて読んだが、それでも
  有機農業から世界の諸問題を解決できるかもしれないと期待できる!
第1位 『反〈絆〉論』 中島義道
  ようやく出会った!人生で最も影響を受けたといっても過言ではない。
  人は中島義道氏を「ひねくれ者」というが、私にとっては常識人。“絆”とい
  う美名に潜む圧力をさらけ出している。誤解を招く表現も多いけど、当たり
  前の事を遠慮なく言っているだけ。溜飲を下げるだけの書にはしないつもり。

以上、傾向としてはやや評論系に傾いてしまいましたね。
それにしても、相変わらずマニアックな選書ばかりで…(苦笑)。
ベスト3は改めて詳しく紹介しますよ。
さて、来年は更に読書量を増やしていきたいところですねぇ!
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by ut9atbun61 | 2016-12-28 01:40 | | Comments(0)

アレルギー出現

とうとうこの日がやってきた!
昨夜、以前手に入れたレンズ豆を使ってエビとチキンのインド風カリーを作った。
我ながら良い出来だと舌鼓を打ち完食したのだが、それから2時間後、布団に入っ
た私は全身の痒みに見舞われた。ボリボリと掻きむしると更に広がっていく。
「何だこれは?」ただただ驚くばかり。おかげでほどんど眠れなかった。

翌日、病院に行くと、おそらくエビアレルギーだろうとの事。
まさか自分が…、がく然とした。
生来よりエビ、カニ、イカなど甲殻類は大好物。
それが食べられなくなるなんて…、私にとっては大きな社会問題である。
この問題の前では、安倍総理なんてどうでもよくなってくる。

この話はまだ続きがある。
病院から帰って、じんましんもだいぶ落ち着いたと思い、おやつを食べた。
何気なく原材料を見ると、「この製品はエビ・カニと同じ施設で製造されてます」
だって。まぁこんな細かいとこまで記載するとは大変だな、と他人事。
その菓子を食べて1時間後、再び軽い痒みが襲ってきた。
まさか、と思うが、他に犯人はいない。あの、エビという文字が曲者だったのだろ
う。私はここまでやってきたか、と悲しくなってしまった。

アレルギーは突然出て来るそうだ。
或る意味、障がいを持った人たちと同じ感覚。何で自分は普通の人と違って妨げら
れなければならないのか?
これを受け入れるにはしばらく時間がかかりそう。
いや、まだ何か対策はあるかもしれない。
私の頭の中はエビアレルギーの情報で一杯になりつつある。
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by ut9atbun61 | 2016-12-19 22:49 | 田舎 | Comments(0)

安岡章太郎で死

先日の或る夜、母が胸が苦しいと言った。
またいつもの大袈裟小芝居かな、と思いつつ、何処かで気になるものもあり、
近くの総合病院へ連れて行った。

午後11時。救急当番の医師は手慣れた様子で、次々と患者を交わしていく。
母の番になった。「それじゃ、ま、一応レントゲンとCT取ってみましょ。」
乾いた口調が事の軽さを十分に伝えてくれた。
ところが、だ。次に診察室に呼ばれた時には、医師の顔に曇りがかっている。
「ちょっと、今から重要なお話があります。…」
ドラマばりの空気感。私は身構えながらも、他人事かのような聞き耳を立てた。
心筋梗塞の一歩手前、今から緊急手術をするという。
数枚の誓約書を書かされて初めて、今から起こるかもしれない出来事に向き合
う事となった。
80を越えた母の死は、正に目の前にある。
そこに座る私はなすすべも無い。
けれども悲しさや怖さという当たり前の感情も無い。
誤解を恐れず言えば、自分が今人生の転機に接しているという、変なワクワク感。
電話で、嫁に簡単に病状を報告。電話口では驚きの空気が流れるが、その風は耳
をくすぐらない、余韻そのままで切った。

午前0時、手術室の灯りが点されると、私はたった一人。ピッピッ、という心の
電子音だけに支配された。それを一つずつ数えていくのも野暮ったくて、本を手
に取った。出掛けに引っ掴んできた本棚からあぶれた文庫。安岡章太郎『死との
対面』。 “死は前よりしも来らず、かねて後ろに迫れり”
流石にヒヤッとした。偶然の必然なのか、必然の偶然なのか。
老作家の軽いエッセイは、飲み物に等しい。あっという間に読み終え、また初め
から…。都合3度、無意識の中で頁をめくった。
3度目の時に、ふと思い出した。
母が以前、九州で交通事故に遭って入院した時、偶然読んでいた本が、やはり安岡
章太郎『海辺の光景』。精神を病んだ母を静かに看取る話。淡々と、ややもすれば、
非常に冷めた視点で大切な母を抱える姿は、妙に読み心地が良かった記憶がある。

結局母は、手術を無事に済ませ、2週間で退院。年明けに再手術をするものの、危
機は脱したそうだ。

私にとって死というのは、決してストレートに解決出来るものではない。
毀誉褒貶と同じく、嫌らしく考えていくもの。その先にきっと諦観と安寧が横たわ
っているのだろう。

父が死んだ時、私は小学校に入りたてで、今となってははっきり覚えてない。
ただ後日、父が居ないと気付いた時(ようやく理解して)、大層悲しんだそうだ。
遠かった死が、一回り成長して、再び日常に帰ってきた。
そして今日、近所のばあちゃんが亡くなった。
 “死は前よりしも来らず、かねて後ろに迫れり”
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by ut9atbun61 | 2016-12-14 00:04 | | Comments(0)

たまたま通信12月号

鳥インフルの猛威が恐ろしい。
全国に広がっていくのも時間の問題かもしれない。
進化の歴史が滅菌無菌を産み出したのではないだろうか?
究極的に生き残るのは昔ながらの自然養鶏だと信じている。
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by ut9atbun61 | 2016-12-04 22:29 | たまたま通信(養鶏) | Comments(0)