たまたま通信2月号 

鶏がじっとうずくまり 卵が凍り 鶏糞の塊で釘が打てる程の寒さよ
いつまで続くのだろうかと 頭を抱え込む その隠れた口元に 
微かに笑みがこぼるる 程の白き世界の美しさよ。
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# by ut9atbun61 | 2018-02-07 23:08 | たまたま通信(養鶏) | Comments(0)

挙句の果てに  ~其の弐

ここは地方M市。或る自動ドアの前に立った。今から異次元の世界へ飛び
込む。緊張が高まっていく。大袈裟?そんな言葉もあるだろうが、私にと
っては小宇宙空間。気を整え、思い切って一歩、足を踏み入れる。
開扉と共にあるのは、白を基調とした壁、矢鱈と眩しい白の室内灯、それ
に加えモワッとした電子臭。その先に若人の声が電波の如く響いてきた。
「いらっしゃいませ!お待ちのお客様、こちらへどうぞ。」
別に待ってねぇよ。それに気後れする事無く、指定された席に座る。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
取りあえずの笑顔に促されて、口を開いた。
「えっと、先日携帯を無くして…、~で今回解約しようと思いまして。」
店員の顔が、一瞬曇ったのを私は見逃さなかった。
「あの、今解約しますと、違約金というものがかかりまして、……」
色々とコムズカシイ話を出してくる。よし、こっちは上から被しちゃえ。
「ああ、大体わかってますよ。でもひとまず必要なくなりましたから。」
「そうしますと、今お使いの番号が使えなくなります。そうでなければ、
利用一時休止という方法もございますが。」

「いや、休止じゃなくていいです。(小声で)どうせ維持費みたいなのがか
かるらしいし。別にどっかの電話に乗り換えるって訳でもないですから。
auさんは自宅で電波が入らなかったから、丁度良かったですよ。()
嫌味とでも思ったのだろうか、店員はニコリともせず、淡々と答える。

「そうですか、では~、ここにサインして下さい。」

「今月を持ちまして、携帯電話の契約を終了させて頂きます。ご利用頂
き誠にありがとうございました。」

私が、やれやれと立ち上がって背を向けた直後に、最後の言葉が飛んだ。

「次回契約をされる際も、是非ともAUをご利用下さい!」

ゆっくりと大股で自動扉を跨ぎ、これで現実世界に戻ってきた。
外気が何だか清々しい。凄く身体が軽くなった気分。ポケットに忍ばせて
いた腫物をもう触らなくてもよいという安心感、私に未知なる交信を強要
してきた赤い小悪魔とも、完全におさらば出来るという開放感。
シャバに出るとはこのような心持であるのだろうか!
いずれはまた、彼女らに面倒を看てもらう日が来るかもしれない。
明日なのか、はたまた2年後なのか、それともこの世とおさらばした後か?
それは神のみぞ知る、ってか。

追記
先日、早速友人が親切にも見合い話を持ってきてくれた。
「おい、最近安くて便利なスマホがあるから早く持てや!」
うんうん、と聴いておいたが、何が良いいのか分からない。
私自身、“携帯交際マニュアル”でも勉強しないと相手に失礼だ。
取り合えずは、前向きに検討していこう。


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# by ut9atbun61 | 2018-02-05 23:12 | 田舎 | Comments(0)

挙句の果てに  ~其の壱

かれこれ2年程は付き合ったであろうか? 昨年末、突如、彼女が私の前から姿を
消した。まぁ、どうせいつものように、ふざけてかくれんぼか、放ったらかしです
ねてるに違いない。そうたかを括る私の読みは、今思うに随分浅はかだった。

そもそも、最近の人間とケータイの恋愛事情はかなり際どい所まで来ている。
「死ぬまで一緒にいようね!」なんていう甘い言葉でもかけあっているのか、四六
時中見つめあっている異形カップルを良く電車の中で見かける。
また夫婦・親子関係に於いても、それぞれのケータイが取り持っているという新し
い家族形態が生まれている。そうなれば、もう周りは何も見えない。
彼女といちゃいちゃしてて事故を起こしたトラックドライバー、現代社会の歪み
に抗してか、彼女と共に部屋に立て籠もった若者達、枚挙にいとまがない…。

今年に入って、私もさすがに彼女の事が心配になって、嫁に恐る恐る聞いたのだ
が、怖い顔で知らぬ存ぜぬ、の一点張り。確かに聞く相手を間違えた。と今度は、
auとかいう彼女の親元に出向いて行方を尋ねたのだが、「あんたのそば(約5k
範囲内だとさ!)に彼女はいるはずだ」と白を切る始末。どうせ、私が彼女につ
れなくしてきたのを根に持った対応だろうと、私は早々に諦めた。

考えてみれば、彼女も私のような人間と出会って不幸だったかもしれない。
元々、彼女とは一方的なお見合いみたいなものだった。
周囲が「もういい歳なんだから、突っ張ってないでそろそろ持つものを持て」と。
私も満更ではなく、相手方に乗り込んでいったのだが、先方では私が余りにも我
がままばかり言うんで、呆れ半ば強引に押し付けてきたのが彼女だった。
当時からかなりの年増で、細面にけばけばしい赤い服、まさに昭和の残り香を振
りまいていた。それでも初めて見る私は、随分と眩しく映ったものだ。

それから新生活が始まった。私もようやく一丁前になった心持で、嬉しくもあり、
あちこちで彼女の自慢をするのだが、周りは引き気味。それでも私も彼女もそん
な傍目を気にせず、先の長くないな幸せを過ごしていた。
ところが、暮らし方が変わるというのは恐ろしいものである。私が彼女を得てか
らというもの、彼女がいつも付きまとって横で騒ぎ立てる。初めはお茶目だと笑
っていたが、段々煩わしくなってくる。中でも、会議や講演会といった静寂を要
する処でも彼女はお構いなし。幾度となく周囲から氷水を浴びせかけられた!
更には、まったく与り知らぬ情報を押し付けたり、見知らぬ男の話なんぞをする
始末。挙句の果てには、月千円程小遣いをあげてたのが、翌年から足らぬと言っ
て2千円要求し始めた。これは詐欺同然である。
到頭、自分の前で、彼女というブロックがゆっくり崩れていった。

以来、私は彼女を邪険に扱いだした。あちこちに連れて行かない、無視する、off  
にして存在を否定する、時には手を上げる事も…。彼女の痛々しい姿を見かねて、
友人も忠告してくれるが、私は決して聞き入れなかった。
ちょうど姿を消したのは、そんな時だった。
そして今日、私はある決断を下す事にした。              ~つづく~


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# by ut9atbun61 | 2018-01-30 23:51 | 田舎 | Comments(0)

たまたま農園 1月号

新年のご挨拶。本年もたまたま農園をどうぞよろしくお願いします!
てな訳で、2018年1月号。
画伯の作風が、少し変わったような気もするが、余り突っ込まないでおこう。
早々に雲行きが怪しくなってはいけないし。

今週末13日に“鶏をさばこう会”を開催します。
あと2~3羽いるので希望者はお早めに!
詳細はお問い合わせ下さい。

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# by ut9atbun61 | 2018-01-07 23:22 | たまたま通信(養鶏) | Comments(0)

たまたま読書大賞

今年も季節季節が素通りして行って、気付けば大晦日。
今年の目標、『読書を極める』ハズだったのだが、せわしさと農作業のくたびれ早寝で、全然ダメ。
そんな中で、今年も選ぶ『たまたま読書大賞』、発表致します!
ちなみに本賞の特徴は、ベストセラーや新刊の類は殆ど選ばれない事(まず読まないから)、むしろマニアックでアウトサイドな本達を紹介。皆さんの読書の参考にはならないけど、こんな本達もあるんだと認識してもらえれば有難い、有難い。

第10位 「わが心のディープサウス」ジェームス・バーダマン
自然と農業と音楽の故郷、アメリカ南部。この手の本は迷わず買って読む。内容云々ではなく、私にとっては聖書。なのでランクイン。
第9位 「彷書月刊」(シリーズ)彷徨舎
古書に関する月刊誌だそうで、神田古書街で出会った。奥宮健之、杉山茂丸など琴線に触れる人ばかりを特集している。しかし残念ながら現在は廃刊。
第8位 「アメリカ様」 宮武外骨
不屈の伝説ジャーナリスト宮武外骨氏。戦後、掌返しでアメリカ一辺倒の世間を痛烈に皮肉ってアメリカをほめ殺した書。矛先はアメリカにとどまらず、時の政府から共産党まで。
第7位 「汝を子に迎えん」 松下竜一
世間から爪はじきにあって日の当たらない人々に暖かい眼差しを向ける松下竜一氏。文体から優しさがにじみ出ている。
第6位 「反骨」 金子光晴
日本一の変態詩人のエッセイ。さすが高田渡の師匠。
第5位 「言葉の命脈(いのち)」 高木護
最も好きな詩人の言葉辞典。暇な時にぼんやり見ていると放浪している気分に浸れる。
第4位 「辻潤 個に生きる」 高木護
ダダイスト辻潤の生涯を高木護流に表現している。
第3位 「大杉栄伝 永遠のアナキズム」 栗原康
最近注目の若手研究者。一アナキストの伝記というより、謎めいた生き様を面白く砕いてくれている。
第2位 「農民ユートピア国旅行記」 A・B・チャヤーノフ
ロシア革命後(1920年)に書かれた1980年のソ連社会主義国の近未来模様。短所と長所を見事にあぶり出している。歴史好き必読の書。
第1位 「どぐら綺譚 魔人伝説」 松本健一
私の故郷久留米で切腹した草莽の士“高山彦九郎”とドクラマグラの夢野久作との精神的繋がりを探る書。まさに運命的出会いの書!

ベスト3は後日改めて詳しく紹介します。
それでは皆様、良いお年を!
来年もしっかり本を読もう‼

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# by ut9atbun61 | 2017-12-31 20:40 | | Comments(0)