不思議な村の不思議な力

昨日、昼休み時に電話が鳴る。受話器の奥からはいつものだみ声。
「昼から、1時間ばかし、ちぃーとてご(手伝い)してくれんかのう」
でました、いつもの手! 天気良いから、このまま調子良く農作業を続けたかった
んだが…、「あー、ハイハイ。」と考えるより先に返事が口からこぼれていた。

13時。事務所に向かうとやはり居た居た。
隣の集落の大工に、左官、山師に…。お揃いの面々、おっさんに捕まり苦笑い。
さーて今日のボランティア活動は…、研修生新居の車庫作り、だそうな。
大工がぼやく。「チェーンソー研ぎを借りに来たらちょっと手伝えだと。」
それに山師が続く。「ちょっと研修生宅を見に来いと言われただけなんじゃが。」
“ちょっとちょっと詐欺”蔓延中。そこにまた新たな犠牲者が通りかかる。
町からたまたま上がってきた元大工、よせばいいのを車を止めて話しかける。
「皆お揃いで何しかね?」
「おーちょうどええところに来た。ちょっとてごせぇ!」
そのままインパクトとビスを押し付けられ、「わしは別の用事があるんじゃ…。」
と泣き言を言いながら屋根に上がる。
こうして、しかめっ面の面々も30分も経てば、職人の真剣顔に早変わり。
「ここはもう少し長めに切った方が後々細工しやすくなるで!」とか、
「ちょっと待ておっさん!こねぇなだらずをしたらいけん!こうするんじゃ。」
段々熱を帯びて、我が事のように活き活きとし出す。
私ももはや1時間ではきかなくなってしまった。まあこれも、いつもの事。

そうして陽が赤く染まり始める頃、いささかくたびれた面々は、すがすがしい顔
してビールを飲む。「はー、今日も捕まって昼からは仕事にならんかったわ!」
「そいでも、ええ仕事が出来たな。おっさんにはかなわんな(笑)。」

“嫌よ嫌よも好きなうち” この不思議な魔力こそ、田舎に必要な物かもしれない。
でもあんまり効き過ぎるのもどうかと思うけど…。
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by ut9atbun61 | 2017-11-15 22:59 | 田舎 | Comments(0)
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