三国志から難波大助まで   Ⅱ

つづき。

 三国志城から迷いに迷ってさまよう事30分。
犬の散歩中の地元人に尋ねてようやくたどり着いた。
「ああ、あの向山文庫ね。あそこ曲がってきったない建物だよ。」と吐き捨てる様な言葉。
鬱蒼とした雑木達の中に突如現れた建物を見つけて、その返答に合点がいった。
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ぼろぼろの土蔵に壊れた板塀。湿気とカビ臭さが周囲に覆いかぶさり、
スズメ蜂や尖がった草といった自然の障害物が母屋へ入ろうとする私たちを拒絶する。
陽が遮断された邸宅内には竹すら遠慮がちに生えている。
唯一、向山文庫を示す看板のみが文化財であることを主張していて、甚だちぐはぐ。
私は呆然とする他なかった。

難波大助とは、大正時代に天皇を狙撃した人物。背景や詳細は割愛するが、心優しき
テロリストだった。そして向山文庫とは、大助の父親がそれ以前に建てた図書館だとか。
父は地元の名士だったが、事件後恥じて自殺をしたという。

明治大正期のテロリスト(呼称は余り好ましくないが)には往々にしてある話。
家族・親類は皆、白眼視され社会から抹殺される…。何世代にも渡って。
それに引き換え、権力者の横暴は、素敵なほどうやむや。
むしろ経年美化で教科書の中で踊っている?

歴史というのは、何でヒーロー・官軍ばかりちやほやされるのだろう。
反逆者(真の)や無頼者は意図的にそぎ落とされていく。
しかしそこを学ぶのこそ、後世への問いかけになろうに。目をつぶってしまった社会には
未来はない。
と、悔しさ余って毒づいてみたけど、眼の前の荒れ果てた様を見るにつけ、そう思う。
ま、今や難波大助を知る者は少ないだろうけど。
社会がきな臭くなってくると、不幸にも必ず現れてくる。暴力で解決には至らないけど。

 難波大助は、三国志というより水滸伝の世界観だ。
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by ut9atbun61 | 2013-08-17 21:49 | Comments(0)
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