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 哀悼

 昨日無事に旅から帰ってきました。

 しかし帰ると同時に待ち伏せていたのは、悲しい知らせ。隣の集落の25歳の青年が
交通事故で命を失ったという。余りに突然で無茶苦茶で何の反応も表せない。
葬儀でも端っこから静かに見守るだけで、親父さん達にかけてやる言葉も見つからない。
ただただうつむいてた。せいぜい思い出をここで吐露するが精一杯。

 彼とは10年来の知己。年齢的に見て、こっちから勝手に兄貴面していたが、彼も嫌がら
ずに慕ってくれた様な気がする。俗に言うイケメンで、少々お調子者。最近は金髪にピア
スなど外見は飾っていたが、真正直で優しく、皆からも好かれていた。ただ不器用さと見
栄っ張りが相俟って、バイクや車の事故も度々。忠告してたがその心配が現実となった。

 彼らが17の頃、バンドを結成すると言うので不肖私が指南役を務め、一緒にステージに
上がった思い出がよみがえる。そのメンバー達とも今日久々に再会することになり、大人
びた他のメンバーの姿も暗く寂しいものとなった。
 今だから言えるが、一つだけ心残りがある。
そのバンドを結成して練習を重ねている時の事。彼らの度重なる熱意に私が或る日くた
びれてしまって、彼が「家に練習しに来ていいですか?」 と言った時、思わず「ああ、今
日はうちのかみさんが色々やることがあると言ってたので無理だ」と断った事がある。
つい口から出鱈目が出たのだが、彼は諦めきれなかったようで、後日うちのかみさんに
不平を漏らしたそうだが、当然うちのかみさんは「そんなこと言ってない」と返したという。
私はその時初めて、いい加減な嘘に罪悪感を覚え、以来彼と(無意識的に)真正面から
ぶつかれなくなってしまった。彼はそれを理解してたかどうか不明だが、変わりなく接し
てくれた。それがまた私にとっては…。
 一言、「ああ、ワリ(悪)いね」と遂に出ないまま。

 暗い話が続くが、高校の時には中学時代の親友を、大学の時には高校時代の悪友を亡
くしている。いずれの友人も、お調子者でちょっと自分が…と言って無茶をやって事故につ
ながっている。周りは囃したり持ちあげたりしただけ。本人を損な役回りでは片付けられな
いが、いつも思い起こす時は「あいつ、本当にバカだよな」となる。

 今日の葬儀の最後に、親父さんが声を震わせ、「T(彼)は死んでしまったが、私達の心
にはずっと生きています」締めくくった。勿論言い聞かせの意味があると思うが、本音は違
う。時間が止まってしまったのだから、私たちからすると彼が思い起こされる時はいつも悲
しい姿で最期が忍ばれ、いたたまれない。いっそ思い出したくもない。おそらく10年程経て
ば心安くなって思い出の1ページとしてキチンと収まるであろうが、それではもっと辛い。
しかしそれしか道筋はないのかも。
 それを思うと、生きてるだけで万事良し。

 勢いに任せてひたすらキーを打ち殴ってしまいました。少しは気がまぎれたかも。
by ut9atbun61 | 2012-03-20 00:18 | 田舎
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