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「一週間」 井上ひさし

 井上ひさし氏の遺作「一週間」を読破した。
思いとしては一週間で読み終えるつもりだったが、勿体ないという感覚と、夜読書の
時間が取れなかったこともあり、二週間に足が出た。
「一週間」 井上ひさし_f0237818_22354545.jpg

ソ連捕虜となった主人公の波乱万丈の一週間を描いたもの。笑いあり、涙あり、手に
汗握り、ついでにHなシーンも。横道逸れる事が多々あるも、文体のテンポ良さが集中
力を途切れさせない。
 あらすじがまた面白すぎるので、ここで語るのは勿体ない。楽しんで読んでいるうち
に、日本の歴史、ソ連の文化まで頭に入ってくるというお得感もある。これこそ著者の
モットーである、
難しいことを易しく,易しいことを深く,深いことを面白く,面白いことを真面目に,真面目なことを愉快に,愉快な事を一層愉快に
の精神が生きている。

 考えてみれば、私と本の出会いは「モッキンポット」シリーズ(風変わり仏人神父との
ドタバタ交流)だったし、演劇に興味を持ったのは、「父と暮らせば」(広島の原爆被災)。
農業のきっかけは、「コメの話」。そしてここにやってきたのは、「吉里吉里人」(独立国家を作る話)のおかげ。
 という事は、私の動きは全て井上作品の中で小踊りしているだけなのだろう。

 最近は井上作品から随分離れていたのだが(理由は単に飽きたと思っていたのだが)、
これを機にもう一度読み直していこうかと考えている。
by ut9atbun61 | 2011-12-05 23:19 |
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