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イージーライダー

 2,3日前、テレビで「イージーライダー」の特集をしていた。69年と言えば私が生ま
れる5年前。

アメリカンニューシネマにのめり込むきっかけとなった映画であり、勿論バイクも乗り
始めたし、改めて70年代アメリカンロックの格好良さを感じたmy金字塔である!
 番組では映画の内容を事細かに分析しながら、当時の社会情勢を反映(カウンター
カルチャー)して、若者の同時代性を有した作品だからこそ受けたと解説、そして続けて、
それ故に時代の変遷と共に役割を終え、(映画も)新たなテーマに変わっていったという。
 普通、講釈が多いと嫌味になるが、今回は私も「うんうん」とテレビに向きあう。
何よりも「個人の自由については、いくらでも喋るが、自由な奴を見るのは恐い」の台詞にはしびれた。
 ただ、イージーライダーを単なる流行りとか、同時代性の枠内でしか語られていない
事がちょっと引っかかった。若者の放浪、コミューンやドラッグといった、自由を求めたり
既存概念に反逆する行為は確かに短絡的で薄っぺらいかもしれない。結局はそんな事
では社会は変わらないし、逆に呑みこまれてしまうのがおちである。日本の学生運動に
しても然り。しかし一個人として考えてみると、これほど刺激的で貴重な体験は無い。青
春期のかけがえのない宝物であり、将来の人生指標にもなりうる。国や社会や他人の為
に何をするかより、自分自身がやった事の方が大変意味がある(内村鑑三「後世への最
大遺物」)。
また若者の熱い思いというのは、決して時代がそうさせたのではなく(多少はそうかもしれ
ないが)、人は誰しも潜在的に持っているものだと私は思う。そういう意味では既に時代や
地域を超えてしまっている。
イージーライダーは、平たく言えば自分探しの旅の映画である。
 
 そうはいっても、ニューシネマが時代と共に息絶えたのは事実。文明の発達と共に享楽
の文化がもてはやされて、精神性なぞ何処へやら。映画でいえば、宇宙戦争が始まった
り甘いロマンスものが流行ったり、私は全く見る気がしない。今の3Dなんか言っても、眼
で楽しむばかりで心がかきむしられたり、心躍ったりという事は無い。

 そんな事を、農作業が終えた夜に考えていると、ふと旅に出たくなる…。
by ut9atbun61 | 2011-07-18 22:41
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